桜と出会い

入学式も終わり、それぞれの教室へ案内された。通常、出席番号順なはずだが、教卓にくじ引きがあり、引いた席に座れるというなんとも緩い担任だと思われる。生憎俺は一番前から2番目の席になった。しかも真ん中列の。後ろの人も黒板見にくいだろ。今からでも変わりたい。が、隣、ではない方の隣の席って言うのかな?これなんていうのか未だにわかっていないんだが。まあつまり右隣の席に小学校以来話していなかった仲の良い友人がいた。

「あれっ、悠真じゃん。」

「え、海崎?」

名前は海崎湊(うみさき みなと)身長小さいし生意気だけど可愛げがあるやつ。

からかったとの反応がちょっと可愛くてよく遊ばれてる。俺もよくからかってしまう。

「久しぶりじゃん!元気だった?」

「うん。悠真さ、中学から全然関わりなくなったから死んだのかと思ってたわ」

「失礼だな」

馬鹿げた話をする。緊張していたけど、少しというかかなり和らいだ。

ちなみに先生はというと、少し先生方で話し合わないといけないことができたとかなんとかで入学早々待たされる羽目になった。

久しぶりに思い出話に花を咲かせていると

「え、ちょっといい?」

と話しかけられた。

「やっぱさっきの!」

「え、まじ?」

さっき出会った桜の似合わない子だった。

「入学式のとき、席後ろでさ、ずっとこの人さっきの人だよなって思ってたんだよね」

「やば!こんなことまじであるんだ」

「え。この人だれ?」

湊が怪訝そうな顔で俺を見る。ああ、まだ言ってなかった。

彼の方を見ると、一瞬はっとしたような顔になりそれからにこっと笑って自己紹介を始めた。

「俺は陸。高城陸(たかしろ りく)だよ。よろしくね。ええっと…」

「俺は佐伯悠真。こっちは小中同じの海崎湊。」

「よろしくお願いします…。」

「よろしくね。ってことはふたりは幼馴染なんだ?」

「どっちかというと腐れ縁だよな」

「悠真と幼馴染ってなんかやだ」

「なんでだよ笑」

高城の方を見るとにこにこと俺たちの話を聞いていた。ずっと笑っているけど、笑顔にも種類があるらしい。なんか不思議と表情豊かだと思った。


こうして俺の物語はスタートした。








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