第4話
「【焔狐】多獣」
ララクは【焔狐】を同時に何度も発動し、10対以上の燃え盛る狐を創り出した。
そして、自分たちを取り囲むウッドゴーレムたちへと強襲させる。
先程の光景を見ていたので、ウッドゴーレムたちは散会して炎から逃げていく。だが、狐の炎からは逃げる事できずに、燃えていく。
木造の体では、炎へ抵抗することはできない。順調に倒していくが、ララクの顔は険しい。
「……これ以上やると、他の樹木に被害が出てしまいますね。魔力消費も激しいですし、あとは肉弾戦と行きますか」
「いいね! おらおらぁ!」
ゼマは待ってましたと、焼き尽くされていないウッドゴーレムへと伸びる【刺突】を連打する。
木の体に穴が開くが、すぐに再生していく。これは、他の植物たちから生命力を奪って回復しているのだ。
「わーお。意外と根気がいるね~」
ゼマはその場で、何度も【刺突】を繰り返す。いいサンドバックができたと喜びながら、弧激している。
そんなゼマの猛追をくぐり抜けて、ウッドゴーレムたちがララクたちへと走り出していく。炎とゼマの攻撃により、すでにかなりの数を討伐しているのだが、それでも次々とウッドゴーレムは姿を現す。
植物ということもあり、ウッドゴーレムは繁殖率が異常に高い。だからこそ、害獣指定されている。
そんな中、ひと際巨大な体をしたウッドゴーレムがララクへと走り出してきた。ゼマも恐ろしいが、炎を扱うララクへの警戒度を高めたようだ。
「……オオオオオオ!」
獣のような雄たけびをあげる巨大な番人。巨木の脚を使って踏み込み、湿地帯を大きく飛び上がった。
そして。巨木の拳をララクへと叩きつける。
「【ストロングナックル】!!」
ララクも小さな拳を握りしめて、敵の拳にぶつけていく。魔力で強化されたその一撃は、いともたやすくウッドゴーレムの腕を粉砕していった。
このスキルは、熊拳のネカンがよく使うものだ。
「……オオオ!?」
片腕を無くしてよろめくウッドゴーレム。しかし、すぐに再生をし始める。だが、この再生はほんのわずかだが隙をさらすことになる。
そこをララクは逃しはしない。
「【強拳乱舞】!」
魔力で制御された体で放つセミオートの乱撃。ララクは敵の懐に潜り込み、両の拳を使って体を何度も叩きつける。
蜂の巣のように、体中に穴を開けられて、ウッドゴーレムは朽ち果てた。再生できるとはいえ、体のどこかに核となる部分がある。人間でいう心臓だ。そこを壊せば、絶命させることはできる。それを的確にサーチする方法もあるが、連撃を叩き込んでしまうのも簡単な手だ。
巨体を持っていたウッドゴーレムを倒したが、その個体が群れのリーダーというわけではなかった。それとララクが戦っている間に、他のウッドゴーレムたちは着実に近づいてきた。
「……ゼマさん、少し暴れます」
ララクは自分が囲まれていることは好機だと捉えた。詳細は言わなかったが、ゼマに視線を送った。
「っお、りょうかい! リーダー!」
ゼマは愛用のクリスタルロッドを伸ばして、遠く離れた木々の枝に巻き付ける。そして【伸縮自在】を解除すると、縮む力を利用して木々のほうへと移動していく。
彼女はララクの仲間であり、彼が作った「ハンドレッド」という冒険者パーティーの一員だ。
ゼマが離れたことにより、ララクは完全に四方をウッドゴーレムたちへに取り囲まれる。
そして一斉に、ララクへと飛び上がって攻撃してきた。
「【ウェポンクリエイト・ハード」
彼は2振りの刀身の長い刀を創り出した。銀色に輝く、切れ味の高い刃だ。これを使い、敵を一掃することのできるスキルを発動する。
ブレイドダンサー・マキコレの得意な技だ。
「【踊刃・大宴の舞】」
彼は一気に体を低く沈めると、風のような速さで動き始めた。 刀が空を切るたびに、銀色の光が尾を引き、湿地帯の静寂を切り裂く。優雅で、まるで舞踏を踊っているかのように、軽やかで無駄がない。
最初のウッドゴーレムの腕が振り下ろされた瞬間、ララクはその腕に向けて一閃。 銀色の刃が木の表面を滑ると、ゴーレムの巨大な腕が切断され、床に落ちた。ララクは止まらず、さらに連続で回転しながら次のゴーレムへ向かう。 彼の体が舞うたび、刀はしなやかに敵の根や幹を断ち切り、その度にゴーレムたちは苦しむように呻き声を上げた。
「ここで終わりだ!」
ララクは最後の一振りで高く跳躍し、全力で2本の刀を交差させてウッドゴーレムの中心を斬り裂いた。 巨大な幹は真っ二つに割れ、その再生力も追いつかないほどのダメージを受け、ゴーレムたちは倒れ込むように壊れ落ちた。
ララクは息を整えながら立ち上がる、銀色に光る刀を見つめた。 湿地帯の静寂の中で、切り裂かれたゴーレムたちは崩れ落ち、彼の前にはもう動く敵はいなかった。
「……ふぅ、これぐらい倒しておけば、この辺りの自然は守れるでしょう」
少し息切れしたので、整えるララク。ブレイドダンサー・マキコレなどが使う〈踏刃〉と名称されるスキル群は、広範囲かつ速度、威力共に優秀なスキルだ。しかし、一連の動作が長く外れると大きな隙をさらしてしまうこと、運動量が高いのでスタミナがないとすぐにへばってしまう、などそれなりにデメリットもある。
今回のように、敵に囲まれた時などには一気に形勢逆転できるポテンシャルを秘めている。
「うひょ~、さっすが~。まーた、初めてみたスキル。あんた、いくつスキル持ってんのよ」
安全確保のために距離を離れていたゼマが戻ってきた。
彼女は数か月間、ララクと共に過ごしている。だが、いまだその全てのスキルを把握しきれていない。
「え~と、100……200……」
指を折って数え始めるララク。昔お世話になった人たちのスキルなので、どんなスキルを自分が所持しているのかは、当然だが把握している。しかし、正確にいくつあるか数えたことはなかった。
「あー、いいよいいよ。あんたが凄いのは分かってるし。
ほら、さっさと報告しに行こう。
移動、よろしく~」
ゼマはクリスタルロッドをしまって、満足そうな顔をしていた。結果だけ見ればほとんどララクが倒したが、その間にゼマもウッドゴーレムに大量の穴を開けて、ストレスを発散していた。
「りょうかいです。
【テレポート】」
彼がスキルを唱えると、ゼマと一緒に体が半透明な魔力の粒へと変換されていく。
そしてすぐにそれは姿を消し、別の場所へと瞬間移動していく。
これもララクが得たスキルの1つだ。
彼らはクエスト完了を報告しに、冒険者ギルドへと舞い戻るのだった。
ララクたちの冒険は続いていく。
そしてすぐに、出会うことになる。
この国に眠る、伝説の秘宝と。
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