未知の果実
しき
第1話
それは未開の森の奥で見つかった。真っ黒な木になっていた言い様のない奇妙な色彩の今までに見たことがない未知の果実。
その異質さから最初は誰も食べようとはしなかった。人々は言った。
「あの果実を野生の動物が食べたところを見たことはないきっと毒があるに違いない」
しかし、とある好奇心旺盛な者がその未知の果実に手を出した。それはどんな食べ物よりも美味しかった。今までに無いまさに未知の味だ。
それから多くの人がその果実を食べる様になっていた。栄養も良く、様々な料理にも合ったので重宝された。そのため大量に栽培されるようになっていた。
やがて森の奥で数本しか生えてなかった木は人間によって世界中に広がった。
しばらくして多くの動植物があの奇妙な色彩の発疹を出しながら死ぬようになった。
毒があったのだ。人間には…人間だけは効かない猛毒が…。
奇妙な色彩が世界を包み込み、ゆっくりと世界が終焉へと向かって行く。人類が滅びに気づかずに手遅れになってしまった理由の一つ。
「その未知の果実があまりにも美味しく、手放すことが出来なかった」
未知の果実 しき @7TUYA
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