爪
綴屋千瀬
爪
自分には爪を噛む癖があります。
物心ついた時からそれは既にありました。
落ち着かない時や緊張する時などに少し噛む程度のもの(だったと記憶する)でした。
しかし此頃。爪を噛むばかりでは足りなくなりました。
指先に酷いささくれを沢山創りました。
それを引っ張っては噛みちぎったり。
血の味。
そこでようやく己の傷を理解するのです。
私には爪を噛むことに我慢がなりません。
傷を創って、またひとつ、ひとつ。
自分の生はこんな事でしか感じることができません。いい加減この癖を直したいと思うのです。
そしてこんな自分も1度、幼少の頃母親にこんなことを言われたことがありました。
「どうしてそんなことをするんだい」
血の味の残る口で、言った。
「分からない。自分でも分からないんだ。」
指先には赤黒い血が固まっていました。
爪 綴屋千瀬 @tuduriya_
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