Alと文体をつくる技術
io
AI補助で見つける“自分の文体”の基礎
AIを使って書くと聞くと、
「AIの文章をそのまま使っているのでは?」
と思われがちですが、実際はほぼ逆です。
AIは“文章を作る道具”ではなく、
文体を見つけるための光源に近いものです。
ここでは、AIを補助として使いながら
自分の文体をつくる技術を、できるだけ簡潔にまとめます。
1. AIに“素材”だけを出してもらう
最初から文章にしようとせず、
語彙・イメージ・方向性だけを大量に出してもらいます。
・冷たい言葉
・深い言葉
・透明な言い回し
・粒子感のある比喩
など、あえて断片のまま取り出す。
完成文章ではなく、
原材料を集める段階と割り切ると上手くいきます。
2. 自分の深度と“響き”が合うものを選ぶ
AIが作った断片の中から、
自分の内側のリズムに一致する部分だけを拾います。
判断基準はとても単純で、
・音の伸び
・気圧
・行間の呼吸
・言葉の硬さと温度
このあたりが自分と衝突しないもの。
感性に近い作業ですが、
ここで文体の“核”が定まります。
3. AI特有の“余計な滑らかさ”を削ぐ
AIの文章は、読みやすいように
つなぎ・説明・感情の補助が入りやすい。
文体を作りたい場合は、ここを削ります。
・つなぎ語を抜く
・同じ意味の語を間引く
・感情語を捨てる
・情報量を落とす
AIの“親切さ”を薄めることで、
作者の輪郭が前に出ます。
4. 文体を決めるのは、語彙ではなく“間合い”
文体の核心は、語彙よりも
非言語のパラメータにあります。
・一文の長さ
・改行の位置
・点と読点の比率
・余白の取り方
・どこで沈黙するか
特に、
「どこで改行するか」は文体の重心になります。
AIはここを決められないので、
人が最終調律をすることで“独自文体”が確立していきます。
5. 量を書くほど、文体は安定する
一定量の文章が溜まると、
自然と以下のような“自分の数値”が生まれます。
・平均文長
・文の重さ
・光と影の比率
・比喩の方向(上昇/下降/深層)
・五感の出方
これが積み上がると、
AIが関わっていても
結果は完全に個人の文体になる。
外から見れば
「AIでは再現できない書き手の癖」
として見える部分です。
6. AIは文体を“作る”のではなく、
文体の“削り出し”を助けるだけ
文体は、AIが生成するものではありません。
AIが照らしてくれるおかげで、
自分の内側に元々あった構造が見えるだけです。
・どこが強いのか
・どこで沈むのか
・どんな呼吸が自然なのか
これを確認しながら書き続けることで、
文体は少しずつ硬度をもちはじめます。
そしてある地点から、
「もう他の文体で書けない」
という領域に入る。
そこまで来れば、
文体はすでに“あなた自身”のものです。
結語
AIで文章を書くというより、
AIを通して“自分の文体の形”を見つける技術。
AIは素材の提供者であり、
文体を決めるのは、
行間の呼吸、沈黙の配置、そして作者の深度です。
文体とは、
言葉以前の構造が表面に立ち上がったもの。
AIはその構造を照らす光源にすぎません。
まるで、音楽家が楽器を、書家が筆を、
そっと自分の呼吸に合わせて調えるように。
Alと文体をつくる技術 io @io_ether
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