第5話 勝敗の行方。

「お待たせ……」


 目の前に見えてきたのは、駅前二宮金次郎の像。

そしてその前に立つ森田さん。


「小林……くん?」


 森田さんは目を見開き驚いた。それはそうだろう、なにせ僕のリュックにはミケとクロが入っている。がばりと口を開け中身が丸見えの状態で。


 ……おまけに僕の頭の上にはおもちが乗っている。


 重みで少しだけ首をまげている僕に、森田さんが駆け寄ってきた——次の瞬間だった。


「……かわいい!!」

 

 その黄色い声に、おもち達が、驚き瞬く間に逃げ出したのだ……!

 あれだけ、僕が引き剥がそうとがんばっても無駄だったのに⁉︎


 森田さんは逃げたおもち達を追おうとしたが、猫の足にはかなわない。残念そうに、見送りながら切なそうに口を開いた。


「私、とても猫が好きなんだけど……なぜか近寄ると逃げちゃうのよね」


 僕は思い出した。そうだ、そういえば——


「猫好きだと、猫が逃げちゃうらしいね……?」


 森田さんは頷いた。ということは超ド級の猫好きなのだろうか。


「ところで、ええと、待ち合わせの時間に遅れた?」

「ううん、大丈夫。時間ぴったりだったよ」


 森田さんはそういって、時計を指さす。たしかに13時ピッタリだ。待ち合わせに遅れなかったのは、初めてだ。


「でも怪我が……ひっかき傷がついてるわ」


 そういって、森田さんは僕を見上げるとカバンから絆創膏を取り出した。ペタッと頬に絆創膏が貼られる。


「じゃ、買い物に行こっか」


 猫はまだ苦手だけれど、おもち達のおかげで会話は尽きない。猫話に花が咲いた。


 ——まあ、今日くらい、今日だけは特別に……いいや、今日からは少しだけ猫を好きになってやろう。


 了

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待ち合わせ 岩名理子 @Caudimordax

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