アマデウス ~僕には魔力が無いけれど、それでも神殺しをめざします~

菓子月 李由香

プロローグ

 黒魔術テックは、失われた古代の文明の遺跡や、それに付随する技術を意味する言葉である。現文明に置いて神より与えられた魔力を使用しない物であり、それは神に背く事である。

 テックを発掘、研究、使用する物は黒魔術師テックマエストロとして、恐れられ、見つけ次第処刑される対象となった。


△▽


 エデン-楽園、美しい町世界の中心。神より恩恵預かりし美しい町。空を貫く美しい鏡面仕上げのビル群には、側面に賢者や勇者の姿を模したゴシック調の胸像が、二三、十の百と並んでいる。移動手段は魔道磁気気動車。浮かぶ機関車の事。

 町の道には不気味なほど美しい『浮遊する光の球』がどこへ向かうかわからぬ足取りで動いている。

 各所に点在するギルドでは、最新の魔法スクロールがもらえる。


 美しい、美しい、美しい、美しい。



 それは表向きだけの話とも知らぬ者共のセリフ。


 僕は捨てたよ?町も、自分も、だって、持ってないんだもん。神から与えられる恩恵魔法をね?


△▽


 アンダー・ログ息苦しい、嗅覚を痛いと言う感覚と一緒に刺激してくるそのオイルと吐しゃ物の臭い。

 路上を歩くと目につくのは強化魔法と魔道インプラントで脳焦げたジャンキーと、多量のコードと人のパーツの幾つが残ってるのかわからぬテック・マエストロの姿だ。

 街並みは廃材をかき集めたゴミ捨て場。

 お世辞にも美しいなんて言えやしない。


「すーーー」


 そんな街の中心で、一人の少年は大きな口を開け呟く。


「エデンのやつらはガラスの塔の中で、神様の書いた台本を演じてるだけ。 魔法の光で目を焼かれて、自分が首輪をつけられた家畜だってことも忘れてるんだ。」


 アンダー・ログが囲っているそれ、エデンと言う神の箱庭を眺めながら。

 

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