五話、二人のトワイライト
サイガの町
「行くよ!、カタリナ!」
「ええ!、エリス!」
二人は同時に駆け出し一気にチェリーに迫る。二人もトワイライトを相手にすることになるとは思っていなかった彼女は焦っており。そして二人になった事でチェリーの力も超えているためまともに対応が出来ていない。
「くっそぉ!、お前一人だけなら用意した手札で殺せてたはずなのにぃ!!」
変異し植物と融合した姿になったチェリーは苛立った声を上げながら種の弾丸を放って来るが。全てカタリナが叩き落とし。一気に距離を詰めたエリスが左腕を斬り飛ばして確実に追い込んで行く。
「私の腕がぁ!!」
チェリーは腕を斬り飛ばしたエリスを狙い触手を差し向けるがエリスは次々とそれを避けカタリナと合流する。カタリナはエリスが自分の後ろに回ったのを確認したところで二つの銃からビームを放ってチェリーの半身を破壊した。
「く、クソォ…」
地面に落ちたチェリーは悔しそうに見上げて来る。
「お母さんの無念を晴らすわ!」
カタリナはチェリーの顔に銃を向けると他躊躇わずに引き金を弾き頭を撃ち抜くと見事母の仇を取ってみせた。
「カタリナ、やったね」
エリスはカタリナを後ろから抱きしめ声を掛ける。
「うん…」
カタリナは肩を振るわせ涙を流し始めた。
「ほほう?、これがトワイライトの力か」
そうしていると別の少女の声がこの場所に響いた。二人が顔を上げるとそこには黒い騎士服を着た少女がいた。
「チェリーは我々アンチトワイライトでも上位の個体であった、よくぞ倒したものだ、しかし、私には…」
離れて戦闘準備を整える二人。そんな二人を見てフッと笑った少女は一瞬消えるとカタリナの目の前に一瞬で現れ彼女を蹴り飛ばして意識を奪う。
「一撃で…くっ!!」
こいつはヤバいそう思うエリスは持てる限りの全ての力を持ってして彼女に向かって行く。
「素晴らしい剣技だ、技量でも経験でも私に劣ってはいない、しかし私には勝てん」
少女はそう言うとエリスの剣を折った。剣を折られることそれは剣士としては負けを意味する。
「さて本来ならばお前を殺す所だが、今日は見逃してやる、次はもっと強い武器を用意しておくのだな」
少女はそう言ってエリスの肩を叩くと転移して消えて行った。
「くっ…」
エリスは強い剣ではないとはいえ負けた事が悔しく俯く。しかしカタリナが気絶しているのを思い出し慌てて彼女に駆け寄り助け起こすのであった。
少女との戦いから五時間後。住民にカタリナを任せたエリスは町の中で暴れているケガレビトやハニービー達を借りた剣で全て斬り伏せ町を救っていた。
「…」
カタリナは砂となった母を瓶に詰めてせめて一所に集めて埋葬しようとしていた。
「エリス、私、旅をする理由が変わったわ」
「うん…」
「私みたいな思いをする人を減らすためにもアンチトワイライトを全部倒す、それが私の旅の目的よ」
母の埋葬を終え墓標も建てたカタリナはそう言うとエリスの元にやって来て胸に顔を埋める。
「一緒に戦おう、エリス」
「うん、カタリナ」
泣き始めるカタリナ。エリスはそんな彼女を抱きしめながら空を見上げるのであった。
これがエリスの旅の始まりを告げるプレリュード。戦いと出会いと悲しみを乗り越えて少女達はアンチトワイライトとの戦いに立ち向かって行く。
プロローグ完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます