エリスの尻尾

森の中


アンチトワイライトとの戦闘後エリスは周囲を警戒していた。優秀な戦士である少女は自分を見る気配を感じていたのだ。


「…来ないか」


気配が消えたのを感じたエリスはホッと胸に手を当てる。


「強そうな気配だった」


「おーい!、エリスー?」


安心しているとカタリナがやって来た。背中には旅をするための鞄が背負われている。


「こっちだよー」


エリスは彼女と合流し少し早いが帝国に向けての旅を始めるのであった。



エルシーナ大森林


エルシーナ大森林を進む二人。目的地はこの先にあるセイガの町である。


「…」


前を歩くエリス。その尻に生えた尻尾がぴょこぴょこ揺れているのを見て触ってみたくなったカタリナは掴む。


「んぁ!?」


すると人がいる所では柔らかい雰囲気になるが魔物や野党と出くわすかもしれないこのような場所では凛とした姿を見せるエリスが甲高い声で悲鳴を上げた。


「も、もぉ…何するのさ…」


エリスは振り返り尻尾を抱きながら恨めしそうにカタリナを見る。


「ご、ごめん、黄昏人を遠目には見たことあるけどこうして話したり一緒に行動するのは初めてでさ…、尻尾がちょっと気になっちゃったのよ…」


「尻尾は弱いからダメ、分かった?」


エリスはウインクしながらめっ!して来る。カタリナはその仕草を可愛いなと思いながら頷いた。


「そう言えば思ったんだけど、エリスって黄昏人の中の種族では夢魔族なの?」


黄昏人の中でも種族がある。竜族や狼族そしてカタリナが言う夢魔族だ。その他にも多数の種族が存在する。


「そうだよ、私の家族はお父様もお母様も黄昏人でお母様の方が夢魔族でその力が強く出たの」


夢魔族の特徴はエリスのようなツノと様々な先端の形をした尻尾である。


「なるほどね」


「夢魔族は淫魔族とも昔は呼ばれてたんだよ、戦争してた頃は能力を積極的に使ってたみたいだからね」


「そ、その…エッチな力…?」


カタリナはエリスの言葉を聞き頬を赤く染めながら質問する。


「まぁそんな感じ、淫魔って呼ばれるだけの能力は私にもあるんだよ、まぁ私は剣士としてそんな力は使わないけどね!」


夢魔の能力を使えばもっと楽に戦闘が出来るだろう。しかしそれは正々堂々と戦うと言う剣士としての流儀に合わない。そのためエリスは夢魔としての能力を戦闘中は一切使わないと心に決めている。


「なるほどねぇ、あなたらしいわ」


真面目である実に。


「それじゃあすすもー!、野宿出来る場所も見つけなきゃだしね!」


「ええ」


二人は野宿出来そうな場所を探しながら森の中を進む。

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