ロード
すずたん
第1話
「え……………………?」
西暦2109年の日本にある“地下”の住宅にまだ十才の少女が居た。
二つの亡骸と共に。
片方は女性で額を弾丸で撃ち抜かれている。
もう片方は男性で身体中を撃ち抜かれている。
そして、この二人は……。
「お父さん!! お母さん!!」
彼女の両親である。
すぐさま亡骸に近づき、右手で母を、左手で父の亡骸を揺さぶる。
「起きてよ!! 起きてよ!!」
揺さぶる毎に両手がまだ温かい血で覆われる。
ぬめりとした感触が気持ち悪い。
それよりもなぜ、こうなった?
地下にある学校から帰って、今この状況。
なぜか家の周りに人が誰一人として居なかったので不思議に思ったが。
帰ったら、両親が動かなくなっていた。
どうして?
分からない。
なぜ、死んだ?
いや、もしかして生きているのか…………もという幻想は手の感触で捨てられた。
どんどん亡骸が冷えていく。
それと同時に己の手も冷えていく。
理解が出来ない。
では、主題を変えよう。
なぜ、死んだのではなく、なぜ、撃たれているのか?
銃なんか家に無い。
周りの家だってそうだ。
持っているのは警察ぐらい。
じゃあ、警察が撃った?
いや、そんなわけはない。
では、誰が殺した?
心当たりなんて無い。
両親共に優しく、誰かに恨まれるような人間ではない。
そうなると通り魔的な犯行?
違う。
地下に銃を持つ一般人なんて聞いた事がない。
そうなると答えは。
計画された犯行、ということになる。
そして、きっと殺したのは“地上”の人物。
「…………あ……」
そこで気付いた。
己が大粒の涙をぽたぽた流している事に。
当然だ。
両親が殺されたのだから。
「あ、ああ……!」
すると心が崩壊したのか、涙が止まらなくなった。
血で覆われた手を亡骸からべとりと離し、涙を両手で受け止める。
それでも溢れる。
涙はとどまることを知らない。
「誰が殺したの…………?」
その言葉が口に出た瞬間、なにか頭がおかしくなった感じがした。
そうだ、殺した人間も同じ目に遭えばいい。
死ねばいい。
では、誰が殺す?
それは……。
「……殺してやる」
両親を殺されたこの少女、舞鶴(まいづる)那奈(なな)、自身だ。
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