第2話 モーリン土地を買う

 ハンターギルドで、誤ってラミィーを傷つけたうえ、【魔虫ゲジランテ】に追い掛け回されるラミィーを見捨てて逃亡したのみならず、ラミィーの持ち物のリュックサックを自分達のものにしようとしていたのがばれた【赤き刃】の連中はギルドから厳しい罰を受けることになった。



「でも良く【魔虫ゲジランテ】から逃げ切れることが出来たわね」

「それはこちらのモーリン様が助けて下さったんです。その上

腕の怪我も治して頂いたんですよ」

剣で切られた腕を見せるラミィー。切られた服と、血液の跡は証拠の為に残したままにしてある。

「まあこれはひどい大怪我だったでしょう。モーリンさんどうもありがとうございます。ところで、討伐した【魔虫ゲジランテ】はどうしたのでしょうか?ドロップ品とかお持ちでしょうか?

「いえ、亜空間倉庫に入れてありますよここに出すのはちょっと狭いですねえ、どこか広い場所が有りませんか?」

では、中庭にご案内します。こちらにどうぞ」

 

中庭は高校の校庭位ある広い場所だった。芝生になっている。


ダンジョンで死んだモンスターは消えてドロップ品を残すのが普通なのだが、消える前に倉庫空間に収納されたモンスターは

そのままの姿で保存されるのだ。全長20mの【魔虫ゲジランテ】は半分がぺちゃんこに潰された状態で出て来た。

「こ、これは、どうやって倒したんですか?

」「いやなに、この杖で魔法でチョチョチョイットね」

俺のステッキはカッコいい魔法の杖になっている。

「潰しちゃったけれど買っては貰えないですか?」


「大丈夫ですぞこの状態なら5千万ギラで買い取ろう」

「ギルマス!」

後ろから来たギルドマスターが保証してくれた。

「それでは受付で手続きを完了させましょう。ハンターカードはお持ちですか?

「いいえ、各地を転々としていたために登録していなかったのですよ。この街には腰を落ち着けたいなと思うので、今から登録出来ますかな?」

「【魔虫ゲジランテ】を1人で倒せるモーリン様なら当然出来ますよね」

ラミィーが応援するように言った。

「はい、大丈夫ですよモーリンさんは魔法師ですか?でしたら裏のハンター判定の仮ダンジョンで実力を見せて頂けましたらランク判定をして登録できますよ」

「ではすぐにでも判定して貰えますか?」

「はい、ではこちらです」


 バリアシールドで厳重に隔離された裏のダンジョンの荒野に来ている。

これから出てくるモンスターを、30分で倒したモンスターの強さと数でランク判定となります。では1歩前に進んでください」

「了解」


俺の頭の中では【モンスターサーチ】を発動している。

1㎞前方に大型のモンスターが1匹。左右に複数のワイルドウルフ。俺の匂いを嗅ぎつけたのかウルフ共が走り寄ってくる。

俺はすでに自分の周りにバリアシールドを張ってある。

だがここまで来させるつもりは無い。杖を掲げて叫ぶ。

「【アーススピア!】」

たちまちウルフ共の足元の岩や地面が槍のように変形して腹を貫いていく。5分もかからずに全滅させた。この様子はカメラの魔道具であらゆる角度から撮影してギルドの中で大型画面で確認しているらしい。


 儂は走って大型モンスターの元に向かう。1㎞を1分で走り抜けそこに居た大型モンスターのティラノサウルスそっくりの【魔トカゲ・デラザウルス】を10mジャンプしてそいつの頭を魔法の杖でぶん殴った。そいつは何が起きたのかもわからずズデンドーンと横倒しになってピクピク痙攣して息絶えた。



「はいそこまでで結構です」スピーカーで終了を告げられた。


「驚きました!土魔法の威力はSクラス以上であり、災害級のモンスターをまさかの杖の1檄で倒してしまわれるなんて想定外の強さです。正式なランク判定は後ほどギルド上部の会議で決定されます。取り敢えず今日は暫定Sランクで登録します」


「ところで自宅を設置したいので、土地を購入したいのですがどこに行けば購入出来るのでしょうか?」

「ちょっとお待ちください。当ギルド所有の空き地が有ったはずですので地図を持ってきます」


「お待たせしました。こちらなど如何でしょうか?」

『あらここがいいわね』

ガイドーラが助言してくれた。

『ここなら街道から少し外れた場所にあるから人目に付きにくいし、魔道具を製造する工場を作る広さも有るしあとはお値段次第ね』


【魔虫ゲジランテ】を売った金額の中から2千万ギラを差し引いて貰ってその土地を買った。


そこまで受付嬢のサリアさんが案内してくれることになった。

建設業者を紹介いたしましょうか?と聞かれたので倉庫空間に入っている家を設置しますといったら驚かれて案内したいと言われたのだ。そのやり取りを聞いていたラミィーも一緒に行きたいというので承知した。


そこは街が見渡せる高台に有って、南向きの山の中腹に有った。綺麗な湧水が有って後ろは広葉樹の森が広がっていて所々にアカマツの林が有る。

(マツタケの生えそうな山だなあ)と喜んでいた俺がいる。


早速土地を均し、地下室分の土を掘って家を取り出した。

同行した2人に驚かれた。

家の中を案内すると

「あたしもここに住みたいなあ」とラミィーが訴えて来た。


老人とはいえ,男の家に若い女の子と一緒に暮らすなんて無理なので隣にアパートを設置した。2LDKのオール電化というよりオール魔道具化の住みやすそうな間取りの家だ。2階建て全部で6部屋有る。

一緒に内覧会を実施したらラミィーだけでなくサリアさんまでこのアパートに住みたいと言い出した。

この街の相場の家賃で貸すことになった。宿を1日5千ギラで30日借りるよりもこのアパートを借りて月10万ギラ払うほうが約5万ギラ安上がりなのだ。

なので残り4室も直ぐに埋まってしまいそうだ。

男女関係でもめ事が起きるのは勘弁なので、このアパートは女性限定にした。

ちなみにこの街はトーゲンター世界の【トーゲキョウ王国】の【ファスタウン】と呼ばれているらしい


続く












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