第2話 繋ぐ

「ねえ、君もs」

♬♬♬♬〜〜〜

「・・・・ごめんなさい、ちょっと、」

スマホが鳴ってしまった。

ポケットに入れたままならば、音は聞こえないはずだったが、

なにせ、取り出してしまった。・・・出るか。

「はい・・・」


親からの連絡だった。今日は遅くなるから、ご飯を適当に食べといてと言われた。

(・・・珍しいな、いつもはそんなことあまりないのに。)

電話をし終わってそんなことを思っていると、

「ねえ、もういい?」

彼女が、そう言ってきた。

「あ、ごめんなさい。

 それで・・・何を言おうとしたんですか?」

「・・・・別に、なんか、学校をサボったの?って聞かれたから、

 そうだけど何か?って。」

「そ、そうですか・・・すみません。」

「なんで謝るの?別に君も咎めようとしたわけじゃないでしょう?

 だって、”あなたも”ってことは君も学校をサボってるんでしょ?」

「そうですけど、なんか・・・すみません。」


気持ちの悪い会話だ。いや、僕が一方的にそうしてしまっている。

昔から、事あるごとに謝ってしまうクセが抜けない。

「それで、あなたは、なぜこんなところにいるんですか?」

「なぜって、そんなの・・・・何でもいいでしょ。」

「・・・そうですか。」

「・・・・・」

「・・・・・」

気まずい。でも、会話を繋げたい。

「あの、あなたって高校何年生ですか?」

「えっ」

「いや、なんか同い年の高1っぽいなーって。」

「そうだけど・・・意外と君、幼いんだね。」

「!?、そ、そうかなぁ?」

「んふふ、そうだよ。だって、君、喋り方とか少し大人っぽいし。

 敬語使ってると逆に年上に見えるよ。」

「そっか、、、じゃあ、普通に話すね。

 でも、俺の方こそあなたの方が年上かと思ってた。」

「・・・なんで?」

「いや、あのー、なんか、うん、すごく話し方とかも余裕がある?感じがして、

 なんか、立ちふるまいとかも、すごく、うん、大人びてるなーって。」

「・・・・馬鹿にしてる?」

「いえ、決してそんなわけでは、いや、あの、」

やばい、言い方間違えた。

怒らせてしまったかな?

「ぷっ、何本気で困ってるの?別に怒ってないよ。」

「あ、そっか・・・」

 (良かった〜)

「君さー、もうちょっと自信持って話したら?その方が良いよ?」

「そっか・・・

 やっぱ、自信ないように見えるかなぁ?」

「あ、いや、それ程って訳じゃなくて・・・・うん、ごめん。」

「いや、こちらこそ、ごめん。」

「・・・・・」

「・・・・・」

また、気まずい。

「あの、」

でも、

「ん?」

言うしかない。

もっと話したいって、思ったから。

「あのさ、もし良かったら、連絡先の交換とかって、」

「いいよ、別に。」

彼女はすぐに返答した。

「本当に?ありがとう!」

まさかいけるとは思っておらず、嬉しくて彼女の顔を覗き込む形になってしまった。

「!?・・・うん、ほら、」

彼女はというと、少し驚いた顔をした後、着ていたセーターの裾を掴み、

顔の下半分をそれで覆いながら少し左を向いていた。

そして、差し出された右手にあるスマホでお互いを繋いだ。

「へぇ、平川 麻美(ひらかわ あさみ)って名前なんだ。

 俺は、絳嶺 鷹斗(あかみね たかと)。」

「・・・そう、絳嶺君ね。」

「そう!、まあ、これからよろしくね!」

「・・・・うん、よろしく。」

興奮して、かなりびっくりさせてしまった。

「じゃあ、私・・・そろそろ行くね。」

「あ、うん、またね。」

彼女は少しだけ首の角度を前に曲げた後、顔も見せずに走り去っていった。

(行ってしまった・・・。)

果たして、もう一度ここで平川さんに会えるのだろうか。

急に静かになったせいか、僕はまた少し寂しさを感じ始める。

「・・・・帰るか。」

ふと地面に目を向けると、そこには彼女がいじっていただろう小石があった。

そして、もう一つあるものを見つけた。

「・・・まじか、」

彼女がカバンにつけていたキーホルダーが、急に走ったせいか、

地面に小石と共に寝転がっていた。

(これは、渡さなくちゃな。)

また会う理由ができてしまった。

しかし、内心かなり嬉しいのは、ここだけの話だ。

そして、上半身をもう一度下半身の直線上の位置に戻す。

秋の風は、もうそろそろ主張を強めてくる太陽と共に、

姿を消してしまいそうだった。








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