砂漠屋稼業
猫町大五
第1話
見渡す限りの砂漠が、広がっていた。
水平線の向こうに至るまで、この世の終わりともつかぬそれが、飽きずに広がっている。
時は一九二〇年代、戦の終わり、次の戦の始まりの時代。
一台のフォードが、砂漠を疾走していた。
「長春から?そりゃまた、随分だね」
「列車に乗り遅れてしまって」
それでも、列車を使わない人間は珍しいだろう。長春からここハルビンまで距離にして百五十マイル、一日二往復の列車を逃しても、大概は翌日のを待つのが普通だ。
「しかし大したもんだよ。豪気というか……馬賊は大丈夫だったのかい」
「大したのじゃなかったよ。数発撃ったら、退いてくれた」
酒場の大将は僅かに眉を上げたが、気付かないふりをした。
「しかし内地からわざわざ、何用かい」
「人探しを」
砂漠屋稼業 猫町大五 @zack0913
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