第3話 森の奥の秘密基地……発見

森の中を例の小さな魔物と一緒に進む。


柔らかい木漏れ日が最高に気持ちいい。


隣にいる魔物も悪いやつじゃなさそうだとわかると幾分か気持ちが楽になった。



・・・それでもまだ怖いけど……。



だって、どんなに可愛くたって僕にとっては突如現れた謎の生物でしかないんだから。



でも、




・・・そういえば、こいつの名前ってなんて言うんだろう?




ピョコピョコと可愛らしく僕にまとわりついている例の魔物。



「そもそもこれ魔物なのか?」



僕は首を傾げながら歩く。



・・・まあ。でもいいか。



なんかぴょこぴょこ歩いてるし。



「あっそうだ。君の名前はピョコ太にしよう。」



自分で考えておいて適当すぎる名付けだとは思う。


でも、当のピョコ太はさっきよりも飛び跳ねててなんか嬉しそう。




あれ?




・・・そもそも僕、なんで森に入ったんだっけ?





「……えっと、そういえば俺、住む場所とか何もないじゃん……」



急に現実に気づいて、頭の中がパニックになる。



「え、どうしよう、どこに行けば……」



そんな僕の不安をよそにピョコ太はぴょんぴょん跳ねながら前へ進む。


まるで「ついてこい!」と言っているみたいだ。


どこに連れて行かれるのか……?


こいつ。


まさか、油断させておいて森の奥に連れ去って僕を食べるつもりだったのか?


考え出すと、ネガティブな考えばかりが押し寄せてくる。


怖いけど……でも、少し好奇心が勝った。




恐る恐るついていく。



やがて視界に木で作られた小屋が見えてきた。


屋根も壁も木製で、ちゃんと家みたいになっている。



「え……ここ……誰か住んでんの?」



小屋の周りにはピョコ太と同じくらいの小さな魔物がたくさん。


丸くてフワフワなのはピョコ太と同じ。


でも、少し耳の形が違う。


改めて落ち着いて見ると、



・・・案外可愛いな。



先導してくれたピョコ太はためらうことなく小屋の中に入っていく。


僕は少しびくびくしながらも勇気を出して後について行った。


中に入ると意外と広めの部屋で、木の温かみが感じられる。


そして視線の先にはローブを着た男性が立っていた。



年は……多分少し年上くらい。



魔術師のような風貌で落ち着いた雰囲気を纏っている。


「……あ、あの……」


思わず声が小さくなる。


男性はじっと僕を見つめ、そして静かに微笑んだ。


「よく来たな。迷わなかったか?」


小さな魔物たちが部屋の中をピョコピョコ跳ね回る中、


僕は少し緊張しながらも、ここで何が始まるのか、心の奥でちょっぴりワクワクしていた。

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