第14話 恋の魔法は有料、時間制限アリ

『やりましたねガブリエル、今日は唾を吐きかけられることもなく無事に帰宅できましたね』

「あぁ、私ガツンと言ってやった気がするよ」

『コレで交番で事情聴取が減るといいですね』

「うん…いや…無い方向で頼みたいものだ」

『しかしガブリエル、一般人ならそうでしょうけど、貴方、色々と規格外品なので難しかもしれませんよ、他のハンターと違ってね』

「アウトオブスタンダート…ワンオフ…なんか特別感が私のプライドをくすぐる響きだなフフ…」

『いや、そういう事ではないのですよ、だから気を付けなさいということです、そういうとこですよ、だから事情聴取されるのです、自覚なさい』

 コンビニでブツブツ独り言を言ってニヤニヤ笑う、黒づくめの外国人…。


「だから、午前中から2度も来るんじゃねぇよ‼」

 当然のように通報されたガブリエル、本日2度目の強制交番訪問である。

「もはやオキニの嬢の出勤日かってくらい、ここには通っている気がする」

『ガブリエル…もうかける言葉が私の辞書には見当たりません』

「常連客ですなガブリエルさん」

 箱長が紅茶を淹れてきてくれた。

「オマエなぁ…その自覚してくれよ…なんか怪しんだよ、黒いコート、どこで売ってんだか?その帽子、無駄に高めの身長、目立つんだよ‼黒いくせに目立つんだよ‼」

 なんか理不尽にキレ散らかすキリキリ、ガブリエルに差しだされた紅茶をズズッとすする。

「箱長‼ 砂糖‼2本な」

「キリキリ、砂糖2本はどうだろう?」

「大きなお世話だ、この野郎‼ テメェのせいでストレス過多なんだよ‼」

「フッ…キリキリ、そう思ったら、放っておいてくれまいか? お互いのために」

「アタシが非番の日に通報されてくれ…頼むから」

「ほぅ…ではライン交換を希望か?」

「なんでそうなる‼」

「キリキリの予定を聞いておかないとな毎月、休みの日を把握する必要がある、さぁスマホを出してくれキリキリ」

 スッと自分のスマホを胸ポケットから差し出すガブリエル。

「便利な世の中になったものだな、私が子供の頃には、こんなもの無かったからな」

「……ん?…そういえばオマエ…いくつなんだ? 聞いたことあったっけ?」

『この警察官、杜撰な事情聴取ですね、まぁ未遂だからいいのでしょうけど…』

「いくつだ?テメェ」

「ふっ…シークレットってやつさ」

 キリキリの質問を軽い微笑みとウインクで返すガブリエル

「パスポート見せろ? 持ってるよな?」

「もちろんだ、常に所持している」

 スッと差し出すガブリエル

「コイツを見せるのは、キリキリで2人目だ…」

「興味ねぇけど聞いてやる、1人目は誰だ?」

「シークレツトなお風呂屋さん…とだけ言っておこう」

 スッと高級お風呂屋さんの会員カードを差し出すガブリエル。

「オメェ…警官の前でソープの会員カードだすなよ…捕まえたくなるぜ」

「なぜ?」

「グレーだろ‼ 一緒に風呂に入ったら恋愛感情芽生えるってグレーだろ‼」

「恋愛感情も時間制さ、タイムリミットのある魔法みたいなものさ」

「ホント気持ち悪りぃなオマエ…」

『同感です』

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