葛藤

アメーバ・プロテウス

文明人

戦友が一人死んだらしい、私は戦場で肩を並べた一人が占領下の街であっさりと死ぬなんて許せなかった。

そしてこんな脆弱な一般市民共に反抗され死ぬかもしれないという状態が耐え難かった、戦場で散るのは華がある。それを覚悟し私達は此処に足を踏み入れた。

名誉ある死を求めて彷徨う亡霊の様な私は此処で死ぬ事は耐えられない。

市民共に見せ付けてやらねば、自分達がどの様な存在なのか。

手始めに犯人と思しき人物の家に強襲し、盗み奪い犯す。服をひん剥き無様な様子を大通りで見せしめにしてやろう。

あぁ、待て私は今冷静ではない、冷静にならねば。

かの下等人種は我が友を辱め己の無聊を慰める道具として使用したのだ、我が友は彼らに何もしていないというのに!

ろくに調べもせず襲いやすいからと感情のままに強襲して。

私はどうすれば良いのだろう?我が友は怒りを他者にぶつけるのは間違っていると私に言ってくれた、だが我が友は低俗な怒りの餌食になってしまったじゃないか!

君はこれでも彼らに怒りをぶつけるなと言うのだろうか、あぁそうだろうとも我が友は私と違って高潔で思慮深くそして慈悲深い人であったから。

なんて惜しい人を亡くしたのだ!

彼らは自らの手で慈悲の糸を断ち切ったのだ!

鉄槌を下さねば!いやいや待て、そしたら私は黄泉の国で我が友に顔向けできるのか?いやできない!

私は我が友に恥じない人であらなければならない。だがそれをするには彼らは低俗で恩知らず過ぎる!罰を与えよう!私の手ではなくきっちりと法に則って。

あぁそうだ私は文明人なのだ!そうでなければ我が友に顔向けできるはずがない!

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葛藤 アメーバ・プロテウス @Amoechlo-chlorella

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