第11話:二人の思い― カナタ章 ―

朝の光が廃墟の街を淡く包む。


今日はこれまでの任務よりも危険度が高い。

新たな次元の裂け目が現れ、翼竜の群れが街角で民間人に迫っている。


現場指揮の服部が緊張した声で問いかける。


「カナタ、状況は?」

「民間人は安全地帯へ誘導済みです。今から翼竜の群れを押し留めます」


カナタは手のひらに微かに力を流す。

小さな光の渦が大きくなってゆき、人々を瓦礫の中から救出してゆく。


この力には、何か特別な意味が……


服部はカナタの行動を観察していた。


光の扱い方、動きの優先順位……普通じゃない。


報告義務が頭をよぎる。

だが、目の前の人々を見て、今はその時期ではないと言い聞かせる。


翼竜の群れが迫る中、カナタは力を更に強め、人々を救出してゆく。

段階的に力を使うことで、体力を保ちながらも最大限の支援を試みる。


「……まったく、本当にお前の力は」

服部の溜め息と驚きが混じる声に、カナタは微かに微笑む。

「必要な時だけです」

答えは短い。だがカナタの中では、責任感と不安が交錯していた。


霧子さん……僕は……

僕の力には、何か、特別な意味があるんでしょうか……

自分に問いかけるように光を操り続ける。


翼竜の現れる裂け目の周囲では、空気が淀み、時間の感覚が微かに狂う。

カナタは民間人が避難するたび、翼竜の注意を引き付け、戦闘を最小限に抑える。


服部は援護射撃と指揮に集中しつつ、カナタの姿を見守る。


カナタの力は強大だ……

だが、限界はあるはずだ。

服部の頭を、微かな予感がかすめた。


張り詰めた空気は続くが、被害は最小限に抑えられた。


カナタはふと遠くを見つめる。

胸の奥には、霧子と交わした言葉や、先日の新たな次元の裂け目が、まだ答えのないまま渦巻いていた。


服部は少し離れて静かにカナタを見守る。

裂け目の向こうには、まだ多くの翼竜が待ち受けている。

それでもカナタは、自らに託された力と使命を、静かに受け止めていた。


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