第13話 楽しい実験

錬成は対象物質の構造を理解するのと必要な魔力を流して作りたいイメージを固めれば使用できる。つまり一回死んで魂を何と無く理解した俺なら錬成の必要最低条件は満たしてるってことだ。


「何らかの禁忌とかに設定されてそうだけど…まぁダンジョンだし法律とか関係無いか!」

『魂の錬成とかどこの大罪の悪魔だよ』

「そんなことしてる奴いるんか」


えっと魂と魂を融合して反発し合うからそのエネルギーを攻撃に転用を…ん?何か上位小鬼族ゴブリンキング近づいてきてね?!両腕切り落としたのに向かってくるのかよ!


「まだ準備が整って無いんだけど?!」

「ゴァァァァ!」

「魂崩壊するぞぉ?!」


ドゴォォンッッ


持っていた5つの魂が拒絶し合う反応で激しく反発、そして突然の上位小鬼族ゴブリンキングの突進によって崩壊。簡単に言えば大爆発を起こしたのだ。


◇オルグス大迷宮 1時間後◇


「ん…気絶してたのか?デジャブ感じるな…てか頭いてぇ」

『魂の反発を理解して無い奴が5つも急に使い出したらそりゃこうなるだろ』

「何で教えてくれないんだよ」

『頼まれなかったし』


少しずつ理解するしか無いか…魂は餓狼ウルフ討伐で山ほどあるからな!質が良く無いから火力出るか分からんけど…まぁ俺を気絶させるほどの威力はあるんだけどね。


「今回の戦いで分かったのは俺は錬成を知らなさすぎるってことだな」

『錬成は俺に聞くなよ?分からんから』

「そこは自分で頑張るさ!トライ&エラーだ!」


てかその前に上位小鬼族ゴブリンキングの素材を剥ぎ取らないとな。短剣じゃ速さはあるけど威力はそんなだから高火力武器も作っときたいしな。


「作るならやっぱ刀かな〜、抜刀術とか言うスキル持ってるし」

『なら脊髄で刀身を作れば良い』

小鬼族ゴブリブ脊髄剣か!悪魔とかゴキブリの漫画を思い出すな…」

『そんなんあるんか?今度聞かせろ!』


でも脊髄使うって何か禍々しい武器になりそうだけど大丈夫か?妖刀とか呪刀とか呪具とか…まぁ強ければそれで良いっちゃ良いけどね!


「まぁその前に早く11階層にいかないとな」


戦闘を終えた後の10層部屋は切り取られた腕から鮮血が流れ落ち本体の死体にも血が絶えず流れていて血生臭い。例えるならば血抜きをしていない本マグロをそのまま喰らうような匂いだ。


上位小鬼族ゴブリンキングの素材だけ貰ったら早く出よ」

『血の匂いが良いのに…』

悪魔狂人と一緒にするなよ」


今の俺のレベルはさっきの戦闘で40になった。現在余ってるスキルポイント全部使えば錬成をSランクまでギリ上げれるな…


「よし!ひたすら錬成しまくって練習だ!」

『え〜!漫画の話しろって〜』

「今度な〜」


刀を作るのは確定で他にも防具の更新もしたいな…それに刀の性能を決めるのもだしやる事色々あってちょっと楽しみになって来た〜!


そこから時間が経つのは早かった。トライ&エラーの繰り返しに少し嫌味を漏らしたが実験が楽しくて忘れまた愚痴を言いまた実験に没頭を繰り返して3日は経過しただろう。


「あ゛あ゛ぁ疲れた〜!」


ここはオルグス大迷宮第11階層の横穴を改造して作った隠れ家だ。肌寒い風が扉から肌を刺すように吹いているが蓮兎は気にせず錬成→失敗→錬成→失敗と繰り返していた。そして遂に完成したつるぎはBランク品となりその名前は──


「呪刀首狩り、マジで呪刀になっちまったが文句無いBランク品だ」


刀身は黒く染め上げられていてその刃の表面に唸る赤き筋はまるで血管のように蠢いていて絶えず呪詛のような耳障りな音が鳴り、刃全体に黒のオーラを纏った正しく呪いの刀と言えるだろう。


名前 首狩り

分類 呪刀

ランク B

スキル 断首 黒纏 呪詛の刃音 吸呪 殺戮 黒魔法強化 切れ味強化 

呪い 斬進

固有スキル 狂気の一撃

称号 殺戮求めし狂刀


「大体首を攻撃した時に補正が掛かるのと殺戮スキルは相手を殺した後の一定時間内の攻撃力上昇のバフ…それに効果時間内に倒したら継続か!中々強いな」


こんだけ呪いに塗れた刀を使いながら常に悪魔が頭に直接囁いてくる状況で俺は人間性を保てるのだろうか?


「…まぁ…何とかなるか、気分転換に久しぶりのダンジョン攻略しようかな」

『なら12層に祠あるからそれ壊せ』

「マジ?なら尚更早く進もうかなッ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る