第41話 格付、ただし番外編。
「かくづけチェックのおじかんだよ~♡」
「は?」
「ヴィルくん、エイダちゃん、ジョルジュくんげっちゅ♡」
「待て待て、は!? は!?」
教室に顔を出すとヴィルくんたちがいたので、強制連行。
向かう先は調理実習室。空き教室がここ周辺しかなかったから仕方ないね。
「ヴィルくんたちつれてきたよ~♡」
「まあ、お早いですわね」
「さすがリリアさまですわーっ!」
「待て待て待て! 少しは説明しろ!」
上から順にリリアちゃん、ユーフィリア殿下、ミストレスさん、ヴィルくん。
「ではフランツくん、ヴィルヘルム・ライプニッツくんに説明を」
「え、私ですか?」
「
上から順に、アルテア先輩、フランツ先輩、テルプシコラ先輩。
「……なんとおっしゃいました?」
「
言葉の通じなかったテルプシコラ先輩が「
団体決闘が終わってから、唯一コミュニケーションを取れる相手ということですごくなつかれてしまった。
リリアちゃんの魅力に気付くとは、なかなか才能がある。
◇ ◇ ◇
「要は、いいものをいいってわかるかどうかのチェックってことだな?」
「そうそう♡ おこちゃまのヴィルくんにはぁ♡ むずかしかったかな~?」
「馬鹿にすんなよ。ってか、そんな金がかかりそうなことできるのか?」
「うん?」
面子を確認してみよう。
・リリアちゃん←子爵。多数の特許持ち
・ユーフィリア殿下←王女
・ミストレスさん←豪商の息女
・フランツ先輩←伯爵家子息
・アルテア先輩←たぶん高位貴族の嫡男
継承権も無い一代限りの準男爵令息のヴィルくんとは違うのだよ。
ヴィルくんも察した様子で「あ、はい」と口にして縮こまった。
「まちがえるたびにあつかいがひどくなっていくからきをつけてね♡」
「は!?」
「だいいちもん! こうきゅうおにくはAとBどっちでしょー! ヒントはぁ♡ もういっぽうはカンガルーにくだよ♡」
部屋の照明を消して、視覚情報を奪う。
暗室で動けるのは、反響定位を体得していて聴覚で周辺の状況を把握できるリリアちゃんだけ。
リリアちゃんが各自のテーブルの前まで移動し、皿を提供していく。
悩んでるのはヴィルくん、エイダちゃん、ジョルジュくんの一年生トリオ(ユーフィリア殿下、ミストレスさんを除く)。
エイダちゃんは男爵令嬢で、ジョルジュくんは宮廷画家の令息。地方貴族とかだと軽くワープア状態になったりするし、あまりいいモノ食べてこれなかったのかも。ジョルジュくんはたぶん食欲の上に創造意欲がきてるから食に関心が無いと見える。
さあ回答で揃いました。部屋に照明を。
Aの札を上げてるのはヴィルくんだけ。
残りの一流学生の皆様はきちんとBを選んでいる。
「はいということでせいかいはBでしたぁ♡ おやぁ? ひとりだけまちがえたばかじたがいまちゅね♡ こんなかんたんなもんだいもわかんないなんてはずかしくないの~?」
「だぁぁぁ! うっぜぇぇぇぇ! 帰る!」
「いいけど……きけんするならひようはらってね?」
「は!? 金取るのかよ!?」
「さんかはむりょーだよ。きけんはゆうりょーだよ」
「詐欺じゃねえか!」
二流学生ヴィルくん、続投。
「つづいてだい2もん! こうきゅうがっきのえんそうはA、Bどちらでしょう!」
ちなみに奏者はリリアちゃん。
リリアちゃんは一度見た動きを完璧にトレースできるからね。
何度演奏しても全く同じ弾き方をできる。
純粋に、楽器の奏でる音色の違いを聞き分けられる。
「かんたんすぎたかなぁ♡」
「リリアさんは楽器の演奏も一流ですのね」
「私大変感動いたしましたわーっ!」
さて、さっきは全員一斉に札を上げてもらったが、やはり部屋を分けるというのは格付けの醍醐味だ。
調理実習室横の教室を二部屋つかい、AとBで別れてもらう。
ヴィルくん←自信満々だが不正解
エイダちゃん←ヴィルくんがいて不正解を確信
ジョルジュくん←不安だが正解
あとの5人?
どうせ間違えない。
「はいということでせいかいはB! ヴィルくんとエイダちゃんはざんねんでした♡」
「だぁぁぁ! わかるかこんなもん!」
「え~♡ こんなかんたんなもんだいもわからないの~? そんなのだから、三流なんだよ♡ ざぁこ♡ ざぁこ♡」
「ぐあぁぁぁっ! こいつぅぅぅ!」
効いてる効いてる。
◇ ◇ ◇
「さあさいしゅうもんだいです♡ これをはずすとヴィルくんは消えます」
「は!?」
「消えます」
「お前が言うと洒落にならないんだって……!」
大丈夫。描写が無くなるだけだから。
物理的に消し去ったりしないから安心してほしい。
「リリアのてりょうりはAとBのどちらでしょう! ちなみにもう一方はぁ、おうきゅうの料理人さんだよ♡」
全員の目の色が変わる。
「む」←アルテア先輩
「これは……」←フランツ先輩
「むずかしいですわね」←エイダちゃん
「そもそも自分たちはこれで何を格付けされるでありますか?」←ジョルジュくん
「もちろん、リリアさまへの忠誠心ですわーっ!」←ミストレスさん
「ふふ、では参謀として、きっちりあてないといけませんね」←ユーフィリア殿下
「
「消えたくねぇ……俺、まだ死にたくねえよ……」←ヴィルくん
一人だけ命賭けてますね。
さて。
今回は一流の学生の皆様から移動してもらう。
・ユーフィリア殿下←余裕の正解
・アルテア先輩←ユーフィリア殿下がいて確信
・フランツ先輩←しかめっ面だけど嬉しそう
おお、さすがは一流の皆さんですね。
続いてここまで1問間違いの二流学生のお二人。
・テルプシコラ先輩←確信歩き
・ミストレスさん←確信歩き
なんていうか、こう、うん。
この二人はたぶん味覚以外の別の感覚器官で正解にたどり着いた気がする。
さすがは王立学園に通う生徒ということでしょうかね。
さて続きまして三流学生のお二人。
・ジョルジュくん←人がたくさんいて号泣であります
・エイダちゃん←リリアちゃんに「正解しました!」と敬礼している
(なんていうか、すごいな。普段から食べ慣れてるユーフィリア殿下はともかく、他のみんなはよく当てるな)
《ねー。おうきゅうの料理人さんのうごきをコピーしたのにね》
さて、リリアちゃんのコピーと言えば、自分の体格に最適化し、無駄をそぎ落とし精度を上げる昇華コピーだ。
しかし、ヴィルくんが昔指摘していた通り、模倣元が既に至高の技術に到達している場合、上位互換ではなく相互互換的なコピーになる。
さて、最後の一人。
あと一つ間違えるだけで描写する価値無しになってしまうヴィルくんの決断はどっちだ!
「こっちだ……!」
バン、と勢いよく扉をあけ放つヴィルくん。
そこに、みんながいた。
全員が回答を一致させた状況で、答えを引っ張る理由はない。
リリアちゃんが正解の扉を勢いよく開け放ち、拍手をしながら入室する。
「やー♡ さすがだねみんな♡ ぜんいんせいかいは~♡ リリアもよめなかったよ~♡」
テンション高めに祝砲を鳴らすのがミストレスさん。
生還を喜び合うのがエイダちゃんとジョルジュくん。
ふんす、と当てて当然だという態度なのはテルプシコラ先輩とフランツ先輩。
アルテア先輩とユーフィリア殿下は落ち着いた様子。
ヴィルくんが、膝から崩れ落ちる。
「リリアのあいじょうかんじとっちゃったんだ♡」
「ち、ちげーし!」
「かぁわい~ぃ♡」
「だぁぁぁ! だから違ぇっつってんだろうが!」
ヴィルくんが描写する価値無しをぎりぎりで回避したところで、今回の格付けチェックはここまで!
・セドリック殿下←参加する価値無し
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄◥
あとがき
◣_________
リリアちゃんのファンアートを近況ノートに掲載させていただきました!
https://kakuyomu.jp/users/Ichinoserti/news/822139842309334341
あけましておめでとうございます!!
今年もよろしくお願いいたします!!
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