拝啓。私だけのダーリンへ。

狂う!

いっしょうの、おねがい。

「一生のお願いっ!」

「絶対返すからっ!」


なんて言葉はもはや挨拶代わりだ。


本当の「一生のお願い」に使われることは、一生に一度だってない。



「絶対」もそうだ。


「明日までに絶対終わらせる」「この店、絶対美味しいから」


軽い。

あまりに軽すぎて、言葉の持つ重力はゼロ。


誰も、その言葉を額面通りに受け取らない。

誰も、その言葉が壊れたところで、人生が終わるなんて思わない。


それは、大人になって生きる知恵。


信じないことで、自分を守る、現代社会の優しいジョークだ。



だがそのジョークが通用しない世界がある。


それは約束の重みを、愛の証明だと信じ、それしか信じるものを持たなかった、小さな子供の心の中。

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