第13話 新橋

2019年 春頃 新橋

あたしは、21歳になり職場で出会った1つ上の先輩から教えてもらった

「イメクラ」でバイトをしていた。

あたしが働いているバ先は特殊で、

一つは、回春エステ。もう一つはイメクラ。という形で両方のお店に在籍し、どちらからも、お客様から予約があれば働けるというハイブリッドなお店だった。


回春エステの方は、メンエス(メンズエステ)のようながっつりとしたサービスはメニューに存在しない。軽くマッサージ、一緒にシャワーするぐらいだった。


イメクラの方は、お客様から指定されたコスチュームを持っていき、その場で着替えて、お話して、一緒にシャワーするくらいだった。


新橋は特殊だなと感じたのは、基本的な行為は新橋駅付近にある「レンタルルーム」で行う。レンタルルームは、5畳ほどの部屋で、簡易的なベッドの上に薄めのマットレス。それとバスタブ無しの狭めシャワールームがあるだけ。


たまに、出張というていで自宅に直接何度か行ったことはある。


客層は、基本的には会社員が多いが、弁護士や業界人、役員クラスの人など様々だった。


あたしは、イメクラの方が楽だった。イメクラの方が客層的にもお話がメインの方が多く、性的なことをあまり求められなかったから。


回春エステの方は、基本的に男性が紙パンツの状態だった。

今でもトラウマレベルだが、入室した瞬間に異様な魚の腐敗臭を漂わせた体の大きいお客様がいて、嗅覚が鋭いあたしはとにかく地獄だった。

速攻で、NGを出した。まじで性病だろと疑った。

後にも先にも、あの臭さを放つ人間に出会わないことを祈る。


イメクラでは、顔がタイプの弁護士と出会って"セフレ"になった。

白金高輪に住んでるマンションに行ったところ、とにかく家が汚くてドン引きした。

こいつは"セフレ"でいいやと思った。半年くらいは月2~3であう感じだったけど、家が汚いので、いくら馬主だろうが弁護士だろうがいい大学を出てようが、無理なもんは無理だなと悟った。


色々な思い出もありつつ、結局はめんどくさくなって3ヶ月くらいで、そのバイトはやめた。


まだ時が経っても新橋に行くたびフワっと思い出す。

「あの頃は、若かったな。」



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