第5話

「好きな人と映画は最高だった。

 いろんな表情が見れたし。」


『また、自慢が始まりましたね。

 わたしの本番は2学期からですから。

 そういえば、あなたはしたいこととか他にあるんですか」


「そうだ、そろそろ呼び方決めませんか?」


『いいですね。

 では、私のことは雨でお願いします。』


「雨さんですね。

 では自分は晴れでおねがいします

 2学期何するんですか?」


『夏休みは、このノート交換どうしますか?

 一応勉強のために学校には行きますが。』


「図書館にいい場所がありますよ。

そこにノートを入れましょうか。

 2学期は何すんですか?」


『では、そこで交換しましょか。

 2学期ですることは、2学期に入ってから言います。

 あなたの方こそ、しっかり頑張ってくださいね。」


夏休みになり、ノートの交換について話し合った。

2学期何をするのか教えてくれなかったが、夏休み中に交換する場所だけは決まった。

頑張って夏休みまでに聞けたらいいな。


ざわざわとする朝の教室、クラスメイトもみんな浮かれている。

今日は終業式であるからだ。

明日から、夏休み。

有希のと夏祭りを考えるだけで、心臓は早くなる。


セミの鳴き声がうるさく感じ始めると、夏が始まったと実感する。

エアコンの聞いた部屋に、早起きをしなくてもいいという、背徳的なことをしても親から怒られないなんて。

幸せだ。


夏休み初日から、ここまでダラダラしていいものなのか。

机にある、交換ノートが目に入る。

好きな人としたいこと。。。。。。。。

いくつも思いつく。


好きな人としたいこと

・夏祭りに行く。

・おはら祭を見に行く。

・クリスマスを一緒に過ごす。

・初詣に行く。

・桜を見に行く。


ざっと書き出すとこんな感じだろうか。

他にもまだまだある、動物園や水族館、島とかにも言ってみたい。

もし、恋人になれたら、行けるのだろう。


そのためにも、頑張るしかない。

そう思えると、拳に力が入る。


今日は、学校で勉強する日。

暑い夏にわざわざ制服を着て、学校まで行く。

わざわざ、ノートを置くためだが、この交換が一種の生きがいになりつつなる。


図書館に入ると、エアコンによる冷気が、一瞬にして全身になだれ込むようだった。

意外と、図書館に来るもの悪くはないな。

端の方に座り、勉強を始める。


時間が過ぎるのは、早い。

ここまで、勉強に集中したのは、初めてだ。

そろそろ、学校を出るか。


指定の場所にノートを置く。


その場所は、図書館の端にある、分厚い本が大量にある場所だ。

誰も見ない場所であるから、安心して隠すことができる。


図書館を出ると、熱気がものすごい。

涼しいところから、外に出るといつもよりも暑く感じる。


スマホの着信に気づき出ると、相手は高志だった。

「夏休み、満喫してるか?」

「なんだよいきなり、まあまあ満喫してるよ、電話なんで珍しいな。どうした?」

「実は、俺も女の子と夏祭りに行くことになったわ!」

あまりの声のでかさに、スマホを離す。

「声でけえよ。おめでとう。」

「それだけだ、じゃあな」


ほんとにそれだけで、電話を切りやがった。

報告だけかよ。

刻一刻と、夏祭りが近づく。

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