第44話 お互いに勘違い
……何か気に障ったか?
しかし、俺としては推しに幸せになって欲しいのだ。
そのためなら、多少うざがれようとも構わない。
とにかく今は……腕が幸せである。
「ククク……(フニフニしてるぅぅ!)」
「な、何がおかしいのですか?」
「いや何、随分と元気になったなと思ってな」
「わ、私はアーノルド君に嫁ぐ気はありませんからね! 例え、それが御主人様の命令でも!」
「メイドが主人に逆らうか……それくらいでなくてはいかんな(推しが元気になって嬉しい!)」
以前の死んだようなユリアなら、あのような対応にはなるまい。
それこそ、主人たる俺に反発するなどあり得ない。
やはり、徐々に変化しているようだ。
その後、学校内にある茶道部に部室棟にやってくる。
ちなみに到着する前に我に帰ったユリアによって腕は離された……ちょっと残念。
「ここが部室棟ですね。確か、この棟には様々な部室がありましたか」
「以前、一通り回ったが中々に愉快であったな」
前世でいう学校のまま、一棟丸ごと部室にしている。
一階から三階まであり、囲碁や将棋まであって少し懐かしかった。
ユリアがいなければ、そちらを選んでいたかもしれん。
二階に上がり通路端にある部屋を訪ねる。
すると、アニエスが出迎えた……いや、ユリアに飛びついた。
「あー! ユリアちゃん! いらっしゃい〜!」
「わわっ!? ア、アニエスさん!」
「えへへ、ユリアちゃん相変わらず良い匂いします〜それにおっぱいも柔らかいです!」
「ちょっ!? 匂いを嗅がないでください! というか、何処を触ってるんですか!」
……良い……とても良い。
何か、とても尊いモノを見ている気がする。
ユリアが元気なのもそうだが、それ以上に神聖的だ。
「良いじゃないですか〜」
「それより、私より先に御主人様に挨拶を!」
「ふっ、構わん(ォォォ! 百合百合してるぅぅぅ!)」
俺は百合には詳しくないが、女の子同士が仲が良いのは眼福である。
それだけは、男なら否定できまい。
その後、ユリアから離れたアニエスによって部室に通される。
以前も見たが、そこは俺にとっては馴染みのある光景だった。
部屋全体に畳が敷かれ、置物として彫刻や刀などがある。
「はい! 茶道部にようこそです! 私が部長を務めるアニエスです!」
「違います、貴方は副部長です」
「イタイ!?」
「うちの子がすみませんでした。アルヴィス様、ユリアさん、私が茶道部部長を務めるエリーゼと申します」
「……ほう、よろしく頼む」
アニエスの頭を軽く叩いた女性徒は、着物を着た灰色の髪をしていた。
その儚げな雰囲気が、意外と和装に似合ってる……例えるなら雪女のような。
とにかく、知らないキャラなので要注意だな。
よく見て観察し、対応を考えなくては。
「ただ、うちの子が無理に勧誘したそうで……」
「うー! だって部員数少ないもん! 私たち入れても、五人しかいないし! 二人が入れば七人だよ!」
そう、それが俺達を誘った理由らしい。
しかし、ユリアは考えた末に自分がしたい思ったから良い。
俺も茶道なら経験あるし、推しの和服姿を見れるし良い。
「いや、特に気にしないで良い……ところで、ユリアよ、何故挨拶をしない?」
「むぅ……御主人デレデレしてる……やはり着物好き? それとも髪色かな?」
「おい、どうした……」
「エリーゼさん、ご挨拶が遅れて申し訳ありません……それで、私も着物着ていいですか!?」
「ふふ、もちろんですわ」
「わぁーい! みんなで着ましょ〜!」
そうして、俺を放置して三人でわちゃわちゃし始める。
俺はそれを眺めて、幸せを感じるのだった。
ちなみに……着替える際には部屋を追い出された。
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