第57話 「ショウコおねえちゃんは僕を捨ててどこかにいったりしないよね?」
ステイタスの次は2月半ばからの収入と支出。
明石さんの治療が終わるまではほぼほぼその日暮らし(その日魔石?)の自転車操業だったから、それ以降の分だな。
てことでまずは収入。
クラス・スクロール
コモン【牧師】
1本 1,500万円
アンコモン【助祭】
1枚 1億円
小計 115,000,000円
スペルスクロール
光魔法【破魔】
1本 2,500万円
光魔法【祈り】
1本 2,500万円
光魔法【小回復】
1本 2億5千万円
小計 300,000,000円
売値に関しては『ポーション1本・50万円』を基準に『異世界商店で商品の購入に必要な魔石容量×五千円』に決定。
……見てもらった通り一部商品っていうか、【小回復(ライト・ヒール)】だけ桁が一桁増えてるんだけどな?
『てかヒールなんてどこから出てきた!?』と、思っているかもしれんが、これは助祭をマスターしたとき、【祈り】と一緒にしれっと追加されてた。
効果はもちろん名前通り、『HPを30即時に回復する』という単純明快なモノ。
教会での販売価格も『魔石5000容量』と変わらなかったし、最初は他と同じ値段に設定してたんだけど――
「柏木さん、他の二つと違い普段遣いの便利さが飛び抜けています。
【下級HPポーション】と比べて性能も上がっておりますので、100億でも安いかと思いますが」
「中務さんの言わんとしてることは分かりますけど、さすがにその金額だと売れないと思いますが……。
そもそも魔法は誰でも使えるものじゃなく、前提条件――【ライト・ヒール】なら『助祭以上の神職クラスをマスターしている』を満たす必要もありますからね?」
なおかつ『この世界では魔法って使い放題なの?』という疑問を解消するため、明石さんと実験をしてみたところ、二人とも10回程度で打ち止めだったし。
他の魔法の10倍である、2億5千万という現実的なお値段で……いや、俺にとってそれはまったく現実味が無い金額なんだけどな?
ちなみにMPが減ってもこれと言って体調不良(魔力酔い)などは起こさなかったし、MPが足りないであろう状態では魔法の発動もしなかった。
このへん、ステイタスが詳細に表示されてないのはかなり不便だよな……。
スクロールに続いては主力商品であるポーション。
教会でスクロールの大量購入、買い物の合計金額が『魔石容量10万』を超えたところで中級のHPポーションと状態異常回復薬が追加。
それを中務さんに伝えたらさっそく臨床実験のために購入したいという打診。
……まぁスクロールも含めて、買ってくれてるのは相変わらず従姉妹(カズラ)さんみたいなんだけどね?
「その葛から、中級メロンソーダの五本目の服用で悪性腫瘍が完治したと報告が入りました。
まだ詳しい精密検査の真っ最中らしいですが、患者――患部の状態は至って良好、副作用もいっさい見受けられないとのことです」
「まさか……でもないですね。下級ですら進行を抑制していたみたいですし」
ということで売れたのは、
【中級HPポーション】
5本×500万円 25,000,000円
【中級状態異常回復薬】
50本×500万円 250,000,000円
小計 275,000,000円
これ、スクロールを売る必要は無かった……いや、スクロールを売った(買った)から中級ポーションが増えたんだから文句は無い――こともないんだけど、その話はまた後で……。
てことで、このひと月半の合計売上金額は『6億9千万円』。
「明石さんも増えて三人になったし、これからは三等分――」
「柏木さん、さすがにそれは無茶苦茶です」
「そもそも私はあなたの商売に関しては一切タッチしていないのだから、一円だって貰うつもりは無いわよ?
ああ、もしも何かをくれるというのなら私のことを抱いて――」
「小娘!? もしかしてあなたは……天才なのですか!?
柏木さん、これからの報酬は現物支給――」
「じゃあこれまで通り……いや、計算するのも面倒だし、購入費用も全部込みで俺が丸々半分!
残りの半分で経費とか税金とかやりくりして残りは二人の役員報酬で!」
どう考えても中務さんの手取が減ってしまうが、そのうち俺の財布ごと管理してもらうことになるだろうし……。
もちろん「えっ? そんなつもりはありませんけど?」と、断られてしまうかもしれないが、それならその時に退職金(慰謝料?)として渡せば問題ない――
なんだろう、こっちにきてずっとお世話になってる中務さんが、最近は暇さえあればひっついてくる明石さんが居なくなるかもと想像するだけで吐きそう……。
「……柏木さん、いきなり顔色が悪くなったようですがどうなさいました?」
「ショウコおねえちゃんは僕を捨ててどこかにいったりしないよね?」
「どうしていきなり可愛い!?
ふふっ、お義姉ちゃんはずっとユウちゃんの隣でいるわよ?」
「ジズカもずっとお兄ちゃんといっしょにいてくれるよね?」
「お兄ちゃん……何なのその甘美な響きは……。
シズカは大きくなったらにぃにのお嫁さんになるって小さい頃からの約束でしょう?」
「ショウコおねえちゃん……シズカ……」
そのまま三人で抱きしめ合う――
「さっきからカズはいったい何を見せられてるのかな!? かな!?」
あっ、そういえば今日はお客さんもいたんだった……。
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