痛快な作品です。
そもそも英雄になるなんて思いもしない嘘つき男が、自分のついた嘘、「俺は最強」によって、どんどん空回り、というよりも上へ上へと主人公を押し上げていく。
卑小な嘘を吐いていたのに、なぜか運命の歯車にがっちりと組み込まれ、どんどん男を『英雄』へと導いていくのです。その過程が読んでいて本当に痛快で、面白い。
本人の必死すぎる保身が、読むものに、「そんな、馬鹿な」と思わせ、小心者のくせに大丈夫と思わせる作者の筆致は最高です。
主人公の仲間でありバディである、皮肉屋のサズールの存在も物語に花を添えています。
テンポとノリの物語。
周囲の「さすがです!」という賞賛の裏で、冷や汗を流しながら次の一手を考える主人公の姿が、とってもチャーミングです。
ラストには大きな感動がまつ、そんな傑作作品。
もっと、ずっと読まれていいと思います。