うちの文学部卒論の原稿「22世紀のタイムマシンの考察」
ヤッキムン
美学
うちは「心の想いによって時空を超えられるもんなんだ!!」っていう美学を持っている。うちは、それを自分の美学ってことにしている。
☆
ある日。
江戸時代に行ってみたい!って強く念じてみた。
うちは江戸時代に行けた。
でも未来はともかく、過去に行って過去の人と関わりすぎると、今現在も変わりかねないため、その辺のところは注意しようと思ってる。特に過去に行った場合においては。
☆
軒下で雨に濡れて、にじんだお顔のてるてる法師さんと出会った。
「うわっ、なんで?、、、てるてる法師さんは、もともと晴れて笑顔なはずなのにっ」
って思ったうちは、なんで、にじんだお顔なのかを尋ねてみた。
てるてる法師さんは人の作った人形であって、過去の人ではないから、話しかけても良いだろうって思って。
あっ、うちは、人形とかにも話しかけて会話できる能力くらいは持っている。
「昨日、わたしを作ってくれたのは可愛いちっちゃな女の子。でもその子、昨日、作ってくれた時に、うちの顔まで描いちゃって」
って答えてくれた。
☆
うちは自分の美学に従って、強く念じて時を超え、昨日に行ってみた。
軒下で、てるてる法師さんを作ってる、ちっちゃな可愛い女の子。
白い布地で、きれいに可愛く作ってる。
と、そこまでは良いのだけれど。
あ、もしかして、女の子は顔を描こうとしてる!?
うちは女の子に
「お顔は明日、晴れてから描いてあげるんだよっ」
って教えた。
「え~っ、そうなんだ〜?!ありがとう」
って言って、軒下にてるてる法師さんを掛けている。
☆
また、うちは自分の美学に従い、強く念じて時を超え、翌日に戻る。
雲ひとつない晴天。太陽あたたかで気持ち良い。
あ、女の子。
てるてる法師さんに可愛いお顔を描いている。描き終わって
「ありがとう」
ってお礼を言ってる。
そのあと、うちは、てるてる法師さんに再び会いに行った。
「可愛いお顔ですね」
うちは声をかける。
「あはは、、、女の子のために今日は晴れにしてあげたから、喜んで可愛い顔を描いてくれましたよ」
って笑顔で答えるてるてる法師さん。
☆
うちは自分の美学に従って、時を超え、自分の世界に戻った。
☆
今日は、その事を原稿に書いている。
タイムマシンに関する原稿。
社会学の卒業論文。
まもなくタイムマシン実用化される。
今年は2099年。
もうすぐ22世紀だから。
うちの文学部卒論の原稿「22世紀のタイムマシンの考察」 ヤッキムン @yakkimn
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