まず最初に思ったのは、文章がとても読みやすいということです。
それはくだけた文体で読みやすいというわけではなく、ちゃんと異世界ファンタジーの世界観を作り出していて、なおかつちゃんと読み手に景色を伝えられるものになっています!
これって結構難しいことだと思います。『異』世界というだけあって、現代とは異なる世界を描くのですから、油断すると読み手を置いていってしまうような物語になりかねないと思います。
その点、このお話は誰も置いていかない、みんなにお勧めできるものだと感じました。まだ序盤ですが、展開も面白くて、無理もなく、自然に続きが気になるものになっています。めっちゃ面白いです。
ビビがどうなっていくのか。とても気になります!
冒頭、母の亡骸と共に海を漂う幼いビビという強烈なイメージから物語は始まり、否応なく深い運命の渦へと引き込みます。
派手な展開に頼らず、淡々と積み重ねられる出来事の一つひとつが、やがて大きなうねりとなっていく構成が素晴らしいです。
文章は終始繊細で静かですが、その奥には痛みや後悔、愛情といった感情が濃く滲んでいます。
息を呑むほど緻密でありながら決して説明過多にならず、物語の余白として機能しています。
人々の群像も豊かで、誰もが血の落とした影を抱えながら生きていることが静かに伝わってきます。
運命に翻弄される物語でありながら、その視線は個人を超え、世界や時代へと広がっていく。
読み終えた後も、花色のように淡く、しかし確かな余韻が心に残る一作です。
この作品を異世界ファンタジーと片付けるのはもったいないと思ってレビューします。
少女期、私を読書好きにしてくれたのは、シャーロック・ホームズやエドガー・アラン・ポーのようなミステリーだけではありませんでした。
例えば、アンを迎えたマリラの葛藤。
精霊の守人のバルサの生きざまでした。
この作品を呼んで、久しくそのような読書をしていないことに気付きました。
上流階級の傲慢さ、養い後を慈しむ母の姿。
不思議な運命を背負った少女。
日常に潜む「悪意」や「心の闇」を、市井の人々の視点から丁寧に描く情感あふれる作品で、夢中になって読めます。
母親の亡骸にくくりつけられ、海を彷徨っていた少女ビビ。
奇跡的に助けられた彼女には、恐ろしい刻印がなされており……
謎めいた少女の存在を中心に、最初は比較的静かに展開していく物語は、読んでいくうちに加速度的に面白さを増して、やめ時を失います。愛憎劇などがお好きな読者さんなら、止まらなくなること請合いです!
特筆すべきは、人物造形の見事さです。
美形、悪人、俗物、善人等々様々な人々が登場しますが、皆ご都合主義や表層的な性格付、言動ではなく、「ああ、こういう人いるだろうな」とか「こういうことあるだろうな」と思わせるキャラ造形が見事です。
そんな人々が生み出す物語だからこそ、実に説得力があり胸に迫ります。
同時に意外性も巧みに織り込まれ、彼らがどこに行き着くのか、この先も追い続けたいと思わずにはいられません。
また、どろどろしそうな展開でも、丁寧で抑えた筆致によって、読後感はむしろしっとりとした印象になる程、心に染みる文章も魅力的です。
●こんな方におすすめ
・緻密に構築された異世界に浸りたい
・説得力のある、リアルな人間ドラマが読みたい
・過去の因縁や関係性が紐解かれていく過程が好き
実は、最初に一話目を読んだ時、「寧」が人名だと勘違いして、一気に五人くらいキャラ出てきて混乱!と思いましたが……私がバカなだけでした。
万が一、同じように混乱しかけた方がいても(いるわけないか)、是非最新話まで読み進めていただきたいです。本当に、おすすめです。