第3話
女の子はテーブルに頬杖をついてつまらなそうな顔をしていました。
テーブルの上には、さっきからメイドさんたちが行ったり来たりしてたくさんの料理を並べています。床には人形やぬいぐるみがたくさん転がっています。みな、女の子のためのクリスマスプレゼントです。
念のために言いますけれど、女の子は一人です。その一人の女の子のためのプレゼントです。あまりにたくさんありすぎて中には包装されたままの箱も何個もありました。
ドアが開くと黒いスーツを着た男の人が入ってきました。女の子のお屋敷の執事と呼ばれる人です。
「ねえ、パパとママはどうしたの?」
女の子は執事に質問をしました。
「え……あ、その旦那様と奥様は急なお仕事が入ったと連絡がありました。なので、今夜のパーティーはお嬢様お一人で、とのことです」
執事は運んできたケーキをテーブルの中央に置きながら答えました。
とても大きなケーキです。三段で一番上には家を型どったケーキとサンタクロースの砂糖菓子がちょこんと乗っています。
とても美味しそうでした。
バン!
女の子はテーブルに手をつくと立ち上がりました。執事はびっくりして女の子を見つめました。女の子は立ち上がったまま何も言いません。うつむいているので表情は分かりませんでした。
「お嬢様……どうか、なされましたか?」
執事がおそるおそる聞きました。しかし、女の子は何も言わずに部屋を出ていこうとします。
「あっ! どこへ行かれるのですか?」
執事は慌てて問いかけますが、女の子は黙ってドアをバタンと閉めてしまいました。
クリスマスなんて、大嫌いよ
廊下で女の子はぼそりとつぶやきました。
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