三極の世界

@MRUT

三極の世界

chatgpt5で書きました。よろしくね。


# **三極世界序章 ― ハヤタ・シゲトシ出現**


 インド洋の薄い朝霧の向こうで、漁船〈第三明神丸〉の船体が、不意に揺れた。船長の秋吉は慌てて身を支え、眼前の海面をのぞき込む。


 ――どん。


 船底を叩く鈍い衝撃。だが潮流も浅瀬もない。そこに潜んでいるはずのない「何か」が、船を押し上げた。


「なんだ……クジラか?」


 秋吉の声が終わるより早く、海面が裂けた。円柱状の鋼鉄の船殻――**潜水艦**。しかも、艦橋の透明ドームの内側には、操縦席に座る**イルカ**が見えた。


 息を呑む間もなく、潜水艦の側面ハッチが開く。


 そこから身軽に飛び出してきたのは――マグロ、タチウオ、サメ、アンコウ、ありとあらゆる海棲生物が、金属製の外骨格をまとった奇怪な姿。彼らは二足歩行の補助装甲に乗り、まるで訓練された**クルー**のように甲板へと跳び移ってくる。


「な……なんだお前らは!」


 秋吉の叫びに、魚たちは答えない。睨むようなガラス質の眼が、冷ややかに船員たちを観察している。


 最後に姿を現した影だけが、異質だった。


 濡れた黒いウェットスキンのような皮膚。指の間には、水かき。背中には、人工エラらしき器具。だが顔立ちは明らかに――**人間**。


 日本人らしい輪郭を持つその男は、静かにライフルを構え、名乗った。


「**水棲人類連合・特使。ハヤタ・シゲトシ。**

 現生人類への警告を伝えに来た。」


 声は低く、どこか遠い海鳴りのようで、しかし日本語だった。


---


## ■ 世界への波紋


 この事件は、瞬く間に全世界を駆け巡った。

 ハヤタ・シゲトシ――かつて日本人の海洋研究者であった男が、自らの意思で深海都市へ移住し、水棲人類へ「転化」したことが公表される。


 彼ら水棲人類は、海流をエネルギー源とする都市群〈アクア・アーチ〉を建設し、すでに国家としての体裁を整えつつあるというのだ。


 その声明は挑発的だった。


> **「海は我々の領域だ。現生人類は、今後の海洋利用について再交渉せよ」**


 この宣言を皮切りに、世界各地の港湾で、水棲人類による示威行動が続発する。海底ケーブル断絶、漁港封鎖、沿岸部での“見せつけるような”サンゴ増殖――無害だが、圧倒的な技術力を誇示する行為ばかりだった。


 国連は緊急招集され、安全保障理事会は荒れた。


「水棲人類に国家としての資格はない」

「しかし軍事的対抗はリスクが高い」

「交渉の窓口を作るべきだ」


 議論は夜を徹して続き、ついに国際法にもとづく対抗措置――**人類海洋安全保障条約(HSS)**が議決された。


 海は、もはや一つではなくなった。


---


## ■ 南極の暗闇で


 その頃――南極点の地下深く。


 長らく氷の下に閉ざされていた洞窟で、何十万年もの眠りから覚めつつある影があった。


 細長い四肢、鉱石のような皮膚。彼らは“地底人類”と呼ばれてきたが、正体は誰にも知られていない。

 ただ、彼らの古代遺跡らしき壁画には、三つの種が睨み合う姿が刻まれていた。


 **〈現生〉〈水棲〉〈地底〉――三極。**


 そしてその中央には、ゆらめく地球を囲むように描かれた巨大な円環。


 地底の巫王は目を覚まし、ゆっくりとつぶやいた。


「……ついに、時が来た。」


---


## ■ 三極世界の幕開け


 海。地上。地底。

 それぞれの種が、互いの領域を主張し始めたとき、人類史は静かに分岐した。


 現生人類の軍事衛星は、アクア・アーチの座標を追跡し続け、

 水棲人類は、海溝の深淵で新たな都市核を建設し、

 地底人類は、南極の氷床下で古の兵器を起動させつつあった。


 そして、ハヤタ・シゲトシは潜水艦内で、ひとり静かに海流の音に耳を澄ませていた。


「三つの種が共存する道は……あるのか?」


 その問いに答える者は、まだどこにもいなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

三極の世界 @MRUT

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る