第6話

それから数日、毎日放課後は茉莉花の家で勉強をした。


コンビニへ行くのも日課になって

そこにはいつも大和くん、旭くん、蓮司くんの誰かしらがいて

茉莉花と混ざって雑談する仲になっていた。


ただ、初めて会った日から

優くんは来ていなかった。



金曜日。

いつものようにコンビニで

軽く雑談を終えて茉莉花の家へ向かおうとすると蓮司くんに声をかけられた。


「金曜日だし、酒飲んだタチ悪いの多くなるから

帰る時、繁華街の方はできるだけ近寄るなよ。」


「わかった。一応いつも避けて帰ってるけど、気をつけるね!」

「明日はお泊まりだし、今日早めに終わろう!」


紫煙を燻らせ、少し心配そうにする姿に

同い年とは思えず

思わず「お父さん…」と呟くと

蓮司くんは咽せた。


「娘を持つにはもう少し時間欲しいわ。」


いつもあんまり表情が変わらない彼が

少し険しい顔をして呟いた後

シッシと、追い払うジェスチャーをしたから

私達は手を振って

いつもの茉莉花の家への道を歩いた。


茉莉花宅に着いてから

いつも通りテスト範囲を復習した。


いつもより早めに切り上げて

帰路に着いた。


夜8時。

いつもの繁華街を避ける道を通っていても

人通りはいつも以上に多いようで

既にお酒が入っている人達もいる。


まだ駅までまだ距離のある道を歩いていると

そこまで広く無い歩道で

喧嘩をしている集団が見えた。


遠目から見てまだまだ終わりそうに無いそれを

待っているのも可笑しい。


通り過ぎる事もできないので

迂回して駅を目指すしか無くなったけれど

そうなると繁華街の中を進むしかなくなってしまう。


人目は多いし、時間はまだそこまで遅く無い。

仕方が無いので、早足でそちらを抜けることにした。



蓮司くんがフラグを立てたんじゃ無いかとか

そんなことを思ったりしたが

金曜日の浮き足立つ雰囲気を元々知っていての言葉であったのだろうというのは

ちゃんと分かってる。


心の中で「忠告破ってごめん!」と思いながら

繁華街へ向かった。

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