6日目
「ねえ。サンタさんになってみない?」
土曜日の夜。閉店後も春は残って飾り付けをしていた。結局いろいろなところが気になって作業を終えることはできなかった。
お店に最後まで残って占め作業をすると自分から申し出た春がもくもくと作業をしていたときにそう声を掛けられた。
手に持った買ってきたオーナメントを机の上に置いてから。春は今得ている疑問を話しかけてきた上司に向かって放った。
「サンタって私がですか?」
自分で聞いておきながらそんなに違和感はなかった。大学生のころから近所の子どもとたちを集めてボードゲーム会を開催していた春だ。その時にサンタのコスプレみじたこともしていた。だからそんなこともあるのだとなんとなく想像もしていた。
「そう。河野さんって元気だし。子どもにも人気があるでしょ? だれかと構わず話をしているところがサンタさんでもやっていけそうだなって話になったのよ。クリスマス当日はみんなそれっぽい格好をするんだけど。全員が全員本格的な格好しちゃうといろんな不都合も起きちゃうし。代表してやってもらおうかと思って。きっと似合うとおもうのよ」
そうお願いしてくる感じに春は覚えたあった。やりたいけどめんどくさいことを引き受けたくはない。本部から施策を行えと言われて、しぶしぶやっている。端々から積極性が感じられない。
会社に入ってから時折感じている違和感。
それはたぶん春が入ったばかりだから理解できない感覚なのだろうと思う。日々が新鮮でインプットしなければならないことだらけの春にとっては到底わからない領域。
「もちろんですっ。やらせていただきます」
プライベートも含めいろいろに渦巻く感情を吹き飛ばすように元気よく返事をした。
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