鷺宮トオル ~異土を求めて~
鷺宮トオル
Ido ― 異土
異土(イド)
夢によって表れる現実、イドでの物語を展開する。
周りの目が怖くてアイスが食べれなくなった若者、デイサービスに赤い靴を履いて来る婆さんに嫉妬して靴を食べてしまう婆さん・・、井戸の水が空になった社会で苦しみをじっと見つめ、水が湧き上がるのを妄想する人々を描く。
異土とは
異土とは、先の仮説で述べた夢の中で人間の本質的な欲望や執着が表れる世界であり、異土は日常の制約を超越し、抑圧された無意識が自在に表現される超現実の空間である。異土の世界では、現実で抑圧された欲望や葛藤が象徴や幻想の形で現れるため、個人は無意識の深層にある真の欲望と対峙しなければならない。異土は自己理解や心理的解放の場でもあり、抑圧された感情が具体化されることで、現実世界との心的な統合は図られるが、全ての欲望や執着から無条件に解放されものではない。なぜならそれらの根源は現実の世界に存在するからである。
苦しみからの解放
叶えられない欲望や執着を苦しみと捉えた場合、それはどのように解決すれば良いのか。この苦しみは一種の情動であり、捉え方次第で変容しうるものである。それらは「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念でまとめられるかもしれない。本書では苦しみに対する解決のヒントを下記の概念を基として提示していく。
~じっと見つめること~
じっと見つめること。それは、嫌なことから目をそむけたり逃げ続けたりするのではなく、どんなに残酷であっても相手を理解しようとする行為である。大島渚氏や土本典昭氏がドキュメンタリーの視点で現実を捉え続けたように、見続けることで本質が見えてくる。この姿勢で夢の世界にカメラを向け、人間の本質に迫りたい。本質を見極めるには、自分自身の眼で見るしかなく、その過程から人間の本質が浮かび上がるものだと考える。
鷺宮トオル ~異土を求めて~ 鷺宮トオル @toru_saginomiya
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