第3話
敵の正体と戦場への急行
王都の衛兵に見つからないよう、悠斗たちは屋根を伝って第二区画へと急いだ。ミリアの魔法による『ブースト・マジック・アーマー』のおかげで、四人の脚力は並の騎士団よりも遥かに速い。
彼らが辿り着いたのは、商業区と居住区の境にある古い倉庫街だった。そこには、王都の分厚い外壁が大きくえぐられ、土埃が舞い上がっていた。
「あれが……敵か」
悠斗は息を呑んだ。
そこに立っていたのは、ノアが言った通り、生物ではない。紫色の魔力を全身に纏った、身長3メートルを超える巨大な「魔導傀儡(マギ・ゴーレム)」だ。四体は既に周囲の建物を破壊し、鈍重ながらも王都の中心部へと向かおうとしていた。
「ノアの言っていた六体じゃない。四体しかいないぞ」悠斗が訊ねる。
「ご主人様……残りの二体は、たぶん『制御体』です」ノアが鋭い耳を動かし、警戒レベルを上げる。「あの傀儡、魔力の供給元が本体ではなく、別のどこかから遠隔で受けています。この辺りの魔力流れが変です!」
エリスは細剣の柄を握りしめたまま、冷静に状況を分析した。
「制御体を破壊すれば、傀儡は動力を失うはずですわ。しかし、制御体はどこに?」
「一つは、たぶんあの教会の尖塔の上だ」悠斗は、遠くの教会の屋根を指差す。「もう一つは……待て。向こうから、もう一体来る!」
倉庫の陰から、一体の傀儡が新たに出現した。その頭部には、小さな人影のようなものが乗っているのが見える。
「あれは制御体じゃない!乗り手だ!」ミリアが叫んだ。
「人間……いや、人間の形をした魔族の斥候(せっこう)か!」
悠斗はすぐさま状況を整理した。
「作戦を変更する。ミリア、ノア!」悠斗は鋭く指示を飛ばした。「お前たちは、まず教会の尖塔の制御体を優先で叩け!遠隔操作型の傀儡が4体も暴れるのは厄介すぎる!」
「え、私ですか!?」ミリアが不安そうに身をすくめる。
「お前の広範囲魔法なら、確実に尖塔を崩せる。ノア、ミリアの精密射撃の護衛を頼む。制御体を崩せば、最低でも4体は止まるはずだ!」
ノアは強く頷いた。「了解です、ご主人様!」
ミリアも緊張で顔をこわばらせながらも、杖をしっかりと握りしめた。「わ、わかりました!先輩、絶対、私が早く戻りますから!」
「エリスは俺と来い!」悠斗は腰の『影斬』に手をかける。「乗り手付きのこの一体は、俺とエリスで即座に抑える!あいつらを逃がすな!」
「光栄ですわ、悠斗!」
エリスは一瞬、魅惑的な笑みを浮かべた。その表情は、先ほどのベッドでの誘惑と同じ熱を帯びている。
「さあ、本命の私が、あなたの護衛に相応しいか、とくとご覧あれ!」
四人は頷き合い、それぞれの役割を果たすべく、荒れ狂う戦場へと散っていった。
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