ホビーアニメな世界で闇落ちしてみました

タピオカ

『センス』と『センス』の鍔迫り合い

トレーディングカードゲーム。

テーブルトークRPGを起源に持ち、複雑なTRPGゲームの簡略化を目指し作られたそれは、半世紀を過ぎる頃には元祖であった筈のTRPGの競技人口を大きく上回るプレイヤー数を獲得するほど人気に育っていた。


カードゲームの魅力とは何か?

カードゲームプレイヤーに尋ねれば、様々な回答が得られるだろう。挙げれば枚挙にいとまがない。


だから、個人的に思っている事を言わせて貰おう。

―――俺は、『センス』のぶつかり合いこそが、カードゲームの最大の魅力だと思ってる。


カードゲームがチェスや将棋のような他のボードゲームと違う大きな理由は、『デッキ』の差だ。プレイヤーは互いに数十枚の紙の束、『デッキ』を持ち寄る。

その『デッキ』は、同名のカードの枚数制限など、いくつかのルール下ではあるが自由自在に組み換え可能だ。


これをチェスや将棋に例えるならば、駒を自由に編成するような物だ。

全部がポーンでも良いし、機動力に長けた飛車角を多めに入れても良い(まあ全ての駒が飛車角では流石にゲーム性が死ぬので、飛車角だけで組む場合強力故の大きなデメリットも抱えている、と思ってくれ)。


互いに全く同じ種類の駒を交互に動かすのではなく、自分のプレイング癖や戦略に合わせ自由にカスタマイズできたとしたら、それは『センス』のぶつかり合いだとは思わないか?


その駒が、数千種も、あるとしたら?


『デッキ』とは、『戦略』だ。

プレイヤーが数千種のカードの中から、相手に勝利するために心血を注いだ、一振りの刃。

互いの『センス』がぶつかり合う。


そんなカードゲームが俺は好きだ。


好きだったんだ。



こんな、世界に産まれ変わるまでは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ホビーアニメな世界で闇落ちしてみました タピオカ @iidak0093

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る