第4話 お約束?

「はいはいはい・・・」

面倒くさそうな声が響く。


掃除機のノズルが僕の背中を小突く。

喧噪音と共に僕は部屋の隅に転がる。


「いい加減に起きなさいっ・・・」

いつもの甲高い声。


僕は。

嫌いではない。


「おいで・・・」

だから、両手を広げて君を呼ぶ。


「掃除の邪魔よっ・・・」

冷たい声が返される。


「ふふふっ・・・」

同時に漏れる君の笑い。


「はははっ・・・」

僕の声が重なる。


そして。

お約束の抱擁。


そう。

それが。


僕達、新婚時代の。

くすぐったい思い出なのです。


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