幽遠列車

恋本麻由

プロローグ

 終電がとっくに無くなった午前3時。

 この時刻になると、不思議な列車がやってくる。

 その列車は午前4時59分まで乗ることが出来るが、午前5時になったら元居た場所へ戻されてしまうらしい。

 なんでも、列車の中でもう一度逢いたい人に逢えるのだとか。

 

 午前3時、静まり返った駅のホームにて若い女性が二人突っ立っていた。

 二人の距離は離れており、互いに存在を認識しておらず持っている携帯電話の時刻をじっと見つめている。

 ちょうどその時、一本の汽車がホームへとやってきた。

 電車の扉が開くと二人は乗り込んでいき、そのまま何処かへと走っていった。

 その汽車は『幽遠列車』と呼ばれるものであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る