第4話 星を視る家
次は上級貴族のもとへ向かう。
貴族の離れに到着し、中へ入る。UASA職員は各テーブルへ配置された。しかし俺の席だけない。
困惑していると、守衛に別室へ案内された。
「この中の方々は普段王族にもめったに姿をお見せになりません。お言葉にご注意を。」
どんなお偉いさんだよ……と思いつつドアをノックする。部屋は和室で、天井には星が輝いていた。
「失礼します。UASA局長の天羽と申します。」
「ああ、よろしく。私は、アルクテュルス・スターゲイジングだ。スターゲイジング家の家督をしている。」
そう中年の男性が優しく言う。
「初の軌道飛行、おめでとう。次は有人飛行を目指して頑張れ。ただし、安全面を最優先でな。」
その隅に、少女が一人。彼女の名はカリナ・スターゲイジング。顔を合わせない理由は……まあ察してくれ。
「うちの娘に宇宙を教えていただけませんか?」
「僕なんかでよろしければ……。」
俺が近づいた瞬間、カリナは“見えてしまった”。顔を真っ赤にする。
俺が「お隣失礼します」と言った瞬間、天井の星々が超新星爆発を起こし、星雲を生み、合体する。カリナは呆然としていた。
「大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫です。」
いや絶対大丈夫じゃないだろ。
俺は資料を渡す。手が触れた瞬間、カリナの顔がさらに赤くなる。
「宇宙についてどのくらいご存じですか?」
「宇宙の存在と、地球以外の惑星を少し……。」
「ではUASAが目指している最終目標からお話しします。」
「お願いします……。」
「我々の目標は、自由で開けた宇宙の実現です。閉鎖的な
「自由で開けた宇宙……素敵です。」
カリナはようやく顔を向けて話せるようになった。そのまま宇宙の話を続けると、あっという間に正午になった。
「名残惜しいですが、失礼します。」
「こちらこそ、ありがとうございました。またぜひ。」
部屋を出て戻ると、周りがざわついていた――。
あれ、俺何かやっちゃいました?そんなことはないはずだ……。
結構不安になってきたぞ。これで、あの一家に無礼を働いたため死刑とか言われたとかいやだぞ。
にしても、あの一家天文関係の名前がついていたな。アルクテュルスさんは、牛飼い座の1等星。カリナさんは、イータ・カリーナ星雲かりゅうこつ座の英名からとっているのだろうか。アルクテュルスさんの奥さんの名前は聞き忘れたが、まあこの流れで行くと天文関係、おそらく星に関する単語からとられているのだろう。
UASAのメンバーを集め、お礼の伝え、一礼する。そして離れからでて、ウィリスM38A1、いわゆるジープに乗り込む。メンバーに、
「別室連れていかれてましたけど、何してたんですか?」
と聞かれる。
「ちょっと、スターゲイジング家の方とお話しをな。」
そう聞いた瞬間、職員の目が丸くなりこう、興奮気味で言う。
「天羽さん、スターゲイジング家って、大日本帝国で言う、公家的な存在ですよ。しかも近衛家レベルの。」
「えっ、俺そんなに偉い人と話していたのか⁉」
「ええ、おそらくは。」
ちょっと待て、大日本帝国だと?聞いたことがある響きだ。しかし社会という教科自体から逃げた人間だから全くそこらへんが分からない。
俺の人生ここからどうなるのか……。
さて次は一般公開のパレードだ。
なんか制服、まんま軍服なんだが。
まあ、国の機関で、階級もあるし正装が軍服みたいになるのはしょうがないか。
俺は、軍で言う中将だろうか。
一方サンは、軍で相当する階級は、大佐だろう。
皆さんが気になっている大漆はどうだろうか?
大漆は、宇宙飛行士候補生だからな。少尉相当なんだろう。日本ではスーパーエリートだったが、こっちでは幹部の中では下っ端。仕方がないと言えば仕方がない。
襟には、所属している部署を表す、バッジが入っていた。
宇宙開発部門ならロケット、経理なら羽ペンといった具合だ。
しかし今は、それどころではない。パレードに集中しなければ。
あ、もちろん更衣室は男女別々だ。俺が女子更衣室のぞいたとかじゃないからな。
大漆の着替えが速すぎて、更衣室から俺が出たときにもういたのだ。
やっぱり石って忙しいのか?
命を預かる仕事だから、仕事に最大限時間を割きたい。
そんな大漆の思いから木の葉や着替えが生まれたのかもしれない。
今日、俺が乗る車は、陸軍の儀式用オープンカーのおさがりだ。陸軍時代は将官が主に乗っていたらしい。
ちょっとまて。将官って軍の中で最高位の分類じゃないか。そんな高貴な車に自分が乗っていいのだろうか。
あっ、今気づいたが俺の階級、軍隊式に当てはめると中将だった。それなら妥当かもしれない。
このオープンカー、制式名M-12V3βに乗り込む。この車は立って手を触れるように後部座席に手すりが取り付けられている。こういう道具があるということは陸軍でも同じように使われてきたのだろう。
ふとそう考えていると、遠くの方から誰かが走ってきた。
あれ……。
どこかでみたことあるような、ないような……。
もしかして、さっき会ったカリナさんではないか?
息を切らし車にはって来たのは、カリナさんだった。
カリナさんの正装姿は初めて見た。
ん?カリナさん、袖章に極太の金の線が2本ついている。高校生の時の記憶を頼りにすると……。
——大将……。
「カリナさん、突然で申し訳ないんですけど、仕事ってなにかされていますか?」
「一応この国の宇宙開発特任大臣をやらせていただいていますが何か?」
カリナさん、すごい人だった……。
そうだ、サン曰く、王都第一大学を全学部中首位で入学したそうだ。大漆と並んで天才おそるべし。
カリナさんと僕を乗せた車は出発した。
城の門が、ギィィと音を立て開く。
門が開き俺たちが見えた瞬間に民衆が歓声をあげる。フラッシュの嵐もおまけについてきた。
門が開いた瞬間、歓声とともにフラッシュが焚かれた。
フラッシュの嵐。
その中に、明らかに異質な一団がいた。
軍の報道班でも、王都の新聞社でもない。
揃いの黒い機材。無駄のない動き。
赤いラインの入った一眼レフが、一斉にこちらを向く。
……なんだ、あれは。
パレードは順調に進み、郊外の広場に着いた。
広場には、演説用の木箱がおかれていた。そして、演説するときおなじみのあのテーブルみたいなやつ。あれにはしゃれたUSAのロゴが入っていた。いつの間にそんなもの作っていたんだ?
俺たち関係者は演説台の隣の椅子に座って待機するよう言われる。
しかし、演説だの横にいる警護のおっちゃんが怖い。カリナさんに手を出さなければ、何もしないとわかっているのだが、それでも怖い……。体系がすごいいい。推定190cmごえ、おかげにマッチョ。怖がらない理由がない。
カリナさんは、報道陣に囲まれていた……。どんな内容を聞かれているのか気になるので少し聞き耳を立てることにした。
「星を操る者は見つかりましたか?」
「ええ、条件に合う方が――」
「そのお相手は……。」
「ノーコメントでお願いします。」
何の話をしているのだろうか。星を操る者とは何だろうか。理系特有の好奇心がわいてきた。
カリナさんの周りから報道陣がいなくなったタイミングで聞いてみる。
「カリナさん、星を操る者とは何ですか?」
「それはですね、乙女の秘密です。」
予想していた限り最悪の答えが返ってきてしまった。
個人的には、スターゲイジング家にかかわることだと思う。深堀りはしないでおこう。
サンとマーキュリーさんが到着する。
サンとは、男のロマンを語り合ったら、すごく仲良くなってしまった。
やっと、気軽に話しかけれる人が来てくれた。カリナさんとも話せるが恐れ多く話しかけずらい。
サンに、
「立ちっぱなしで疲れていないか?」
と聞く。
「疲れました。演説しろって言われたらきついです。」
そうサンは言った。
死刑から始まる異世界宇宙開発 櫻澤宙大 @SCBN
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