第12話 遠近両刀
リコの家を出たあと俺は宿に戻って夕飯を食べていた。
「そういえば新しいスキルを手に入れたんだっけな。すっかり忘れてた」
俺はヘルバードを倒したことでレベルが20となり、新たなスキル、サイコエンチャントを手に入れたのだった。
サイコエンチャントの効果を俺は知らない。
(また図書館に行って調べようか。ただ新たなスキルを手に入れるたびに図書館に行ってあの本を読むのはだいぶめんどくさい。よし、例の本を本屋で買おう)
そんなふうに明日の予定を決定しながら俺は眠りについた。
そして次の日に俺は街の本屋へ行き例の本を購入することにした。
(本屋ってのは客に需要のある本はドンっ! と目につくように置いてあるな。へえ、店員のオススメは『都市伝説 融合人間 モンスターと人間のハーフが発見された!?』か。そんなモノ本当にいるのだろうか。いや、いないから都市伝説なのかもな)
そんなことを考えながら俺はお目当ての本を探す。
「あった、これだ。ちゃんと置いてあってよかった。なかったらまた図書館に行かなきゃいけなかったからな」
そうして俺は宿に戻ってベッドに腰掛け、その本を開く。
「さあて、お目当ての情報はどこにあるかな」
ペラペラとページをめくり、エスパーのページを見つけてスキルを見る。
「サイコエンチャントは...1つまで触れた物体にサイコパワーを加える?」
(サイコパワーってなんぞや)
生まれた疑問を解決するため、文を読み進めるとサイコパワーの説明があった。
どうやらエスパーのスキルはこのサイコパワーで構築されており、サイコパワーが攻撃に使われる時は魔力のステータスを参照してるらしい。
(ほーん。だからエスパーのスキルの参照ステータスは魔力なのか)
そしてそれを触れた物体1つに付与するスキルがこれってワケである。それを知った俺は1つの天才的なことを思いついた。
「剣にこのスキルを使えば魔力のステータスを参照して剣で戦えるのでは?」
今まで剣で与えるダメージを増やす手段は自己暗示で軽く増やすくらいしかできなかった。
この前ヘルバードを貫いた時も俺は剣聖を凌駕する力を想像したが実際はそこらの剣士と同レベルか、まあ上かくらいの攻撃力しか出ていなかっただろう。それが今後は魔法使いを凌駕する魔力ステータスから剣で攻撃できるのだ。今後はより剣を使った戦いがしやすくなる。それどころかエスパーのスキルを使った遠距離攻撃もできるのだ。
「つまり今の俺は遠距離と近距離、両方を高火力で戦えるというわけか。遠距離は魔法使いに劣るけど近距離は鍛え上げてきた俺の剣術がある。そこらの剣士よりは強く戦えるかもしれない。まあスキルはないけれども……」
そうしてそのスキルを理解した俺は、宿を出てギルドへ向かう。そしてギルドである張り紙を見つけた。
「冒険者闘技イベント? レベル30までのあらゆる天職が出場できるのか」
今の俺ならレベル20で出ることができる。ただレベル20じゃ遠近両刀できるとはいえレベル30に勝つことは厳しい気がする。
闘技イベント開催は7日後。今の俺はリコから貰った魔石で他者の2倍の速度でレベルを上げることができる。ならば7日後までにレベル30にすることもできるだろう。
「よーし。やったるかあー!」
そんな声を出しながら俺は闘技イベントに向けてレベル上げを開始するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます