第6話 よし、防具を買おう
いつものように朝起きて飯を食い、冒険者ギルドへと向かうと何やらさわがしい様子だった。いや、騒がしいのはいつものことだが今日はいつもとは違う騒がしさだ。
「うぅん……? 一体何があったんだ?」
そうして騒ぎの元と思われる場所へと足を進めるとそこにはいくつかの張り紙があった。そこに書かれていたのは、各地で現れるはずのないモンスターが現れるというものだった。
「ということは昨日のあいつも……」
そう、昨日俺が行った森はゴブリン程度のモンスターしか現れないような森だった。昨日のあいつはあまりにも強大な存在だった。ゴブリンらが俺に見向きもせずまっすぐに逃げるくらいだ。それに今後もあんなことが起こってしまうと考えると今の雑な装備で戦うのは危険だろう。ようするに俺が今日やることは1つだ。
「決めた! 装備を整えよう!」
というわけで俺は街の防具屋というところにきていた。今の俺の有り金で買えるような防具はあるのだろうか。そんなことを考えながら俺は店へと入った。
中は少々古っぽいがギラギラときらめくたくさんの防具が四方八方に立てかけられていた。基本的に防具というのは自分の天職にあったものを選ぶのだが、俺は普通のエスパーならないことだが、剣をぬいて戦うことも少なくはないだろう。だったら前衛も多少こなせる防具を選んでいきたい。そうなると軽くても防御力があるようなお高い物を買わなきゃならない。
そう思いながらあたりを見回すと胴から脚まですっぽりおおう赤みがかった茶色に黒いラインが入った革の防具があった。革と言ってもゴブリンの数倍強いようなモンスターの攻撃をくらってもダメージを大幅に軽減してくれる優れもの(らしい)。お値段はそこそこお高く30000ゴールド。
これを買ってしまったら所持金がだいぶ減ってしまう。だけども、けれどもだ。俺はすでに晩餐に5000ゴールドほど使ったことが2度あるのだ。もう今更後悔する必要はない。そうして俺は店の奥のカウンターのような場所に佇むヒゲを生やしたおっさんに声をかける。
「これ、ください!」
いざ購入するとやはり心が踊る。宿に戻り購入したものを着用する。
「軽い! なんて軽さだ。まるですっぽんぽんになった気分! なんてことは流石にないな。とはいえ本当に軽い!」
その革の防具は俺の想像の数倍軽かった。不便なく体が動く。
「これなら戦闘で不便はなさそうだな。あとは...耐久力か」
そんなことを思いながらとりあえず自分の体を剣でぶった斬ってみる。全力で振りかぶってその剣を自分のへそらへんの腹にむけて振ってみる。
シュン! と風の切る音を立てた剣が俺の腹に直撃する。
「おお! 全然痛くない! これは俺の攻撃力が低いのか、この防具がすごいのか! や、前者の可能性は考えないでおこう……。悲しくなっちゃうよ……」
傷がほとんどついていない。俺程度の攻撃力なら刃すら通さないようだ。
「さあて、防具の耐久力を堪能したところでギルドに昼飯でも食いにいこう」
いつもの俺はクエストから帰ってきた時とかについでのようにギルドで食べている。しかし今日は宿にいるためギルドは行く必要はない。であるが、俺はギルドで食うのが癖づいてきたため結局ギルドへ向かうのだった。
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