教えと傘下

 なんで私が追放なんて……と思わないこともない。


「何が悪かったんだろう……」


 追放された理由を考えながらギルドに足を踏み入れようとした瞬間に馴れ馴れしく肩に手を回され、耳元で囁かれる。


「よー姉ちゃん正義の栄光グランドジャスティスを追放されたんだって? 俺達のパーティーに入れてやろうか?」

「結構です。私はしばらくパーティーを組まないことにしたので」

「まあそう言わずにさ。うちに入ったらいいことあるぞ」

「しつこいです。私は正義の栄光グランドジャスティス以外には興味ないので」

「……おい女、調子乗ってるとボコボコにするぞ」


 声をかけてきた男が激昂しているのが伝わってくる。

 勝手に声をかけてきて、忙しい人だなと思いながら私は臨戦態勢をとる。

 アカネさんに教えられた通りにやれば対人戦は勝てるはずだ。


「最終通告だ。俺達のパーティーに入れ」

「いやと言ったら?」

「殺す!」


 剣を抜いた男が襲いかかってくる。

 私は冷静に杖で剣を受け止め、そのまま弾き返す。


「なっ……! お前回復師ヒーラーじゃねえのか!」

「ええまあ……。回復師ヒーラーですよ?」


 本当のことをわざわざこんな奴らに教えてあげる必要はない。

 面倒くさいしさっさと終わらせてしまおう。


「というわけでさようなら」


 私は思いっきり杖を男の頭に振り下ろす。

 ビキッと何かが折れる手応えを感じる。

 男は沈黙した。

 これで2度と、変な輩から声をかけられることはないだろう。

 正義の栄光グランドジャスティスで学んだことはきちんと活かせている。

 そんなことを思いながら、私は依頼を受けるためにギルドへと足を踏み入れた。


――――――――――――――――――――――――


「アレクさん正義の栄光グランドジャスティスの名声をあげると言ってもどうするんですか?」

「レオン少年、それは簡単だ。秘密裏に俺達のパーティーを正義の栄光グランドジャスティスの傘下にすればいい」

「そんなこと可能なんですか? 傘下申請は正義の栄光グランドジャスティス側が許可しないと無理なだと認識してますけど」

「結論から言うと可能だ。ちょっとした裏技を使うけどね」


 俺は半信半疑でアレクさんの話を聞いていた。

 パーティーには傘下というものを作れる。

 傘下を作ると傘下がいくらかお金を支払うことで傘下元に保護をしてもらえたり、依頼を譲ってもらえたりする。

 逆に傘下に参加しているパーティーの名声や金銭を渡すことも可能になる。


「レーンさん、これで傘下申請通りますか?」

「アレクくん私はおすすめしないよ? 追放された正義の栄光グランドジャスティスに傘下申請なんて」

正義の栄光グランドジャスティスにはお世話になりましたし……」

「そういうならいいけどね。レオンくんもそれで大丈夫なんだよね?」

「はい! 俺も正義の栄光グランドジャスティスにはお世話になったので」

「……わかりました。あなた達正義の信奉スティルジャスティス正義の栄光グランドジャスティスの傘下として承認します」

「ありがとうレーンさん! 助かりました」


 晴れて正義の栄光グランドジャスティスの傘下となった僕達は新しい依頼を受けるのだった。

 

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