力と追放と

 俺は殲滅されていく死霊系アンデットを見ながら直感が働く。

 これはダメなやつだと。


「なんで最上位アンデットのリッチを触れただけで倒せてるの……?」


 最上位のアンデットは本来、最強ランクのパーティーが何パーティーも集まって数日かけて倒せる……そんな強さのはずだ。

 これは異常だ。

 アレクやレオンの時に感じたような強烈な違和感。

 正義の栄光グランドジャスティスに憧れてくれるのは嬉しいが、うちよりも活躍のできるパーティーが彼女にはあるはずだ。

 憧れられた先輩として、せめて初心者でなくなるまでは面倒は見ようと俺は決心を固めるのだった。


――――――――――――――――――――――――


「追放、ですか……?」

「あぁそうだ。お前はもう正義の栄光グランドジャスティスの一員である必要はない」

「そんな……私なにかしましたか!?」

「なにかも誰かもない。これはパーティーとしての決定だ。そもそも君の職業はアカネの回復師ヒーラーと被っている。アカネもいい迷惑をしていたそうだ」

「そんな……」

「今日中に荷物をまとめて出ていけ。2度とうちのパーティーの前に顔を出すなよ」


 こんなモノはただの言いがかりだ。

 こころの中で申し訳ない気持ちを堪えつつ、伝える。

 彼女は将来、世界最強の冒険者の一角になるだろう。

 そんな存在がうちにいてはいけない。


「……お世話になりました。私をここまで育ててくれたことには感謝はしています」


 俺は片手を上げその言葉に答えるとリースは嗚咽を上げながら部屋を出ていった。


―――――――――――――――――――――――


「あーあ優秀な子だったのになー」

「そうですよ! せっかくできた私の弟子だったのに」

「そうはいってもあんな子うちでは手に負えないだろ」


 俺とアカネとリルは酒を煽りながらリースの話をしていた。


「アカネはすまなかったな。追放のためとはいえ悪役を買ってもらって」

「いいですよ……。多分次から街中で見かけても睨まれるでしょうけど」

「アカネはそもそも魔法使いマジックキャスターで回復魔法がたまたま使えるだけなのにね」


 そうアカネの職業は回復師ヒーラーではない。

 使だ。


「あーあなんか普通の職業の子来ないかなー。追放する側もする側で毎回悲しいのに」

「それはわがまますぎるぞ。追放される側はもっと辛い。それを俺達の都合で押し付けていることを忘れてはいけない」

「まあそうなんだけどさー」


 そんなことを喋りながら俺達は酒を深夜まで煽るのだった。

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