春馬の思い出 - 4






 ほどなくして、咲良は学校からいなくなった。


 四年生になっても、咲良は病院で治療を続けていたみたいだった。

 ただ、夏が近づいたころ、咲良が亡くなったと聞いた。

 待ち遠しかった夏休みが近づいているのに、クラスの雰囲気は暗かった。特に、咲良と仲が良かった天夏や俊彦は、明らかに元気が無かった。

 そのまま夏休みに入って、俺自身も感じていたやり切れない思いを振り切り、休み明けに俊彦のところに行った。


「なあ、咲良の誕生日祝いしようぜ」


 頑張ったあいつとの約束を守るために。

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