第8話 横暴最低教師
──そして、数時間後。
「本当にありがとう。アルディオスさん、アスカさん! 我々はあなたたちを歓迎します!」
「い、いえいえ、それほどでも……」
僕とアスカは大きな建物の中に招かれ、パーティーを開いてもらっていた。
むう……この雰囲気、なんか苦手だ。
すると、アスカが鼻をクンクンとしだした。
「……良い香りがする~」
「Mレックスの肉が焼かれてるんだってさ、もうすぐステーキがくるよ」
「うん、楽しみ♪」
アスカは目をキラキラさせていた。
だが、僕の腕にしがみついて離す様子がない。
アスカも、この雰囲気は苦手なのかもな。
「お待たせしました」
僕とアスカが座っているテーブルに分厚く焼かれたMレックスのステーキが並べられた。
「お、おいしそう……」
「だな、さあ、お腹いっぱい食べよう」
「うんっ!」
僕たちはステーキを頬張っていく。
拳銃をも弾き返したヤツの肉は非常に柔らかく料理されており香ばしく、1度だけ食べたことのある特上のビーフステーキよりも旨味が強かった。
「お……おいしいっ!」
「これは、すごく美味い……」
ソースも甘味と酸味のバランスが取れた美味しいもので、思わず言葉を失うほどの感動だ。
──次々におかわりをしていき、僕とアスカはMレックスの全重量の3割ほどの肉を平らげる。
「ああ……おいしかった」
「本当によく食べるよな。どこに入ってるんだろう?」
「エヘヘ♪」
呆れる僕にアスカは屈託無く笑いかけてくれる。
──そんな時だった。
「いい加減にしろ! お前ら俺をバカにしてんだろ!」
アスカはビクッとし、僕にしがみつく。
聞き覚えのある怒声だ、この声は……。
「何が時空光暦だ! 今は西暦2025年だろうが! お前ら頭おかしいんじゃねえのか! ああっ!!」
灰色のスーツを着込みインテリメガネをクイッと上げ、七三分けの髪を整えながらヒステリー気味に叫び散らかしている。
間違いない、
僕を散々罵倒した、あの男だ。
「信じてください、ここは西暦の世界じゃないんです。あなたは、別の……」
「おい女、あまり舐めたこと言ってると女だからって容赦しねえぞ、分かってんだろうな!」
「あっ……」
「おい! アンタこそいい加減にしろ!」
男性は怯える女性を庇い、先生を怒鳴りつけた。
「クソが!」
すると、悪態をつきながら先生は立ち上がる。
え? なんでこっちに来る?
「おい、お前! なんだその格好! コスプレか!? ヒーロー気取りも大概にしろや!」
青筋を立てながら先生は僕を睨み付け、金切り声で叫び散らかす。
うわ……あまりにも色々と酷い。
アスカは身を震わせ怯えている。
「大丈夫だよ、アスカ。僕がついてる」
「う、うんっ」
アスカは安堵の表情を浮かべながら僕にしっかりとしがみつく。
ぐわぁ、やはり可愛い。
そして、僕は紙室先生の方に向き直る。
「この子が怯えるから、もう少し穏和にいこうよ、紙室先生」
紙室先生は驚き、後ずさりをする。
「なんで……俺の名前を……?」
「なんでだろうね、紙室先生」
僕は紙室先生の目を見つめ、不敵に微笑みながら見上げた。
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