「モノを食べるときはね 誰にも邪魔されず自由で 何というか 救われてなきゃダメなんだ 独りで静かで豊かで……」。
ご存じ、「孤独のグルメ」の主人公、井之頭五郎の有名なセリフですね。
本作はまさに、食事による救いを見事に描いた、至福の作品です。
ステーキとしてメジャーな牛ではなく、かといって庶民的なポジションの豚や鶏でもなく、羊。
そう、ラム肉のステーキです。
ラムというとジンギスカンを思い浮かべますが、そうではなくステーキです。
良いですね、フレンチのような特別感を感じます。
ナイフで切り分ける時も、まるでその存在感を主張するかのように、反作用でもって応えます。
素直に切れてくれないあたり、何かしらの印象を与えて特別感を強めようという肉の主張を感じます。
そして……静かに、味わう。
というより、味が静か。
この表現ですよ。
味を語るにしてはあまりにも場違い、なのにそれですべてが伝わる不思議さ。
技量の妙が光ります。
多くを語らず、静かに食事で救われる物語。
そんな静かで豊かな癒しを、本作でお楽しみください。