第5話 闇の中の灯火

【警告:未確認個体Aからの干渉レベル上昇】

【システム防衛プロトコル起動】

光輝の視界に緑色の警告表示が走る。ステータスボードが意思を持っているかのように自動的に新たなウインドウを開いた。


【解析結果:接続パターン特定】

【類似アルゴリズム検出 - 古代管理システム「イグドラシル」と一致】


「イグドラシル……?」光輝が困惑する間もなく、ボードは新たな表示を展開する。瓦礫の山と道路を交互に映し出し、最適な脱出ルートを提案し始めた。


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基地内。雷斗は息を荒げながら立ち上がる。頭の中の声が消えない。

「誰かが……僕の中にいる」

彼の予知能力が暴走し始めていた。断片的な光景が次々と浮かび上がる。瓦礫の中を走る少年。彼が見ている景色には自分と同じ模様の腕輪が……


「似ている……」雷斗が自分の左腕を見つめた。確かに同じ模様の腕輪が巻かれている。「でも君は誰なんだ?」


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光輝と千紗はステータスボードの指示に従いながら基地の北西部へと急ぐ。途中で帝国軍の哨戒が近くを通るたびに「隠密」スキルが自動発動し、二人の存在を光学的に遮蔽した。


「これって……自分で設定してないよね?」千紗が不安げに訊く。

光輝は首を振った。「スキルを拡張してるのにシステムが勝手に……」

【システム情報:未確認個体Aによるパラメータ調整を検知】

【緊急オプション:干渉を遮断しますか? Yes/No】


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司令室では雷斗とヴァンデルの戦いが続いていた。雷斗の予知が突然クリアになる瞬間があり、ヴァンデルの一撃を紙一重で避けることができた。


「何が起きている……?」ヴァンデルが槍を構え直す。「お前の力が安定してきたか」

雷斗は混乱したままだったが、頭の中の声に導かれるように動いているのを感じていた。(北東へ) 再び声が響く。雷斗は咄嗟に体を捻り、ヴァンデルの槍撃を回避しながら北東へ向かって駆け出した。


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光輝たちは基地外周に到達していた。遠くで爆発音が続き、煙が空に立ち上る。

「あそこ!」千紗が指さす先に小型輸送機が見える。おそらく脱出用のものだ。

光輝がステータスボードを確認すると、【外部干渉強化】の表示とともに新たなメッセージが現れた。


【重要警告:干渉源位置特定】

【位置座標:基地方向】

【推奨アクション:接触確認】


「接触……?」光輝は困惑した。「まさか……」


その時、輸送機の方角から一人の人物が走ってくるのが見えた。全身黒ずくめの服装だが、煙の中でも煌々と光る腕輪が目に入る。その模様は—光輝の左腕に刻まれたものと全く同じだった。


「あれは……」千紗が息を呑む。

光輝はゆっくりと立ち上がり、近づいてくる人物を見つめた。彼のステータスボードには新たな情報が流れ込んでいる。


【未確認個体A:身元特定】

【名前:黒川 雷斗】

【職業:反乱軍リーダー】

【関係性:???】

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タイトル不詳【まだ決まっていませんコメント欄にて募集中 お試し10話投稿反応次第で執筆予定】 kuroeru @kuroeruVT

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