語り手の観察眼が鋭く、比喩や言い回しに独特の風刺が効いていて、読むほどに声が頭の中で響いてきます。大学生活というありふれた舞台が、語りの切れ味によってどこか滑稽で鮮烈な景色に変わっていくのが魅力的でした。軽やかな口調の裏に、どうにもならない感情が渦巻いている気配があり、読み終えても人物の存在がどこかに居続けるような作品でした。