思わぬ出来事
「ピピピピッ」スマホのアラームが鳴る。止めなければならない。でも、体が思うように動かなかった。やっとの思いでアラームを止めた時にはインターホンの音が聞こえてきた。「奏、大丈夫か?もう家出る時間だよ。」紘人にそう言われて少し驚いたが、ゆっくりと玄関まで歩きドアを開ける。「...は、お前顔真っ赤だぞ。」巴にそう言われると、私は全身の力が抜け、その後からの記憶がない。
「お願い。奏だけは...生き延びて。」おかあさん、そんなこと言わないで。おかあさんも一緒に生きないと。「彼らと仲良くするんだよ。俺たちの分も精一杯生きろよ。」おとうさん、1人はいやだよ。どうしてそんなこと言うの?...誰かたすけてよ。「...adiuva me」不意に出たその言葉の意味はわからない。ただ、何か大切な言葉な気がする。
「...はっ!」目が覚めたら自分のベッドにいた。「あれ、なんでベッドにいるの?」朝よりも体調が良かったから部屋を出てリビングに向かった。「あれ?3人とも学校は?」気が付いたら家にいた3人にそう声をかけた。「あ、奏。体調大丈夫そう?体調不良者を置いて学校に行くような事はしないよ。全員休み。」巴がそう言ってきた。なんかごめんね。そう伝えると霙が大丈夫だよと言った。ご飯を食べている時、私は今までの疑問を晴らすことにした。「...ねぇ、どうして3人とも、私の為にここまでするの?最近過保護だなって思ってたんだけど、私何かしたっけ?」そう聞くと紘人が言った。「みんな奏のことを想っているんだ。親友としてではなくて。」そう言われたが、意味がわからない。一体何を言っているんだろう。そう思っていると、「やっぱり直接じゃないと伝わらないじゃん。奏こっちきて。」巴がソファーに呼んできた。ソファーに行くと突然巴が私のことを抱き寄せてソファーに押し倒す感じで抱きしめてきた。「ちょっ!巴!?」突然のことで驚く私を置いといて巴は説明し出した。「...俺らは奏の事が好きなの。分かる?」そう言われて初めて理解した。過保護な理由、私と仲良くしてくれている理由。全部、好きだったからなんだ。「...好きじゃなかったら関わらなかったのかな。」そう言うと紘人がえ?と言った。私は今情報量が多すぎてまともに処理できていない。故に、思ったことを言ってしまったのだ。昔からの悪い癖だ。「そう思うの?」紘人にそう言われて怒らせてしまったと思い「ごめん!」と言い巴をベッドに倒して走って家を出た。分かってる。自分が悪いって。でも、あの3人にはきっと似合わない。だからこそ、いじめにも向き合えた。だからこそ、あの3人にも迷惑をかけれない。...かけちゃダメなんだ。3人がわからない場所。私が1人になりたい時は真っ先にここに行く。カランカラン。ドアを開けると仲がいい店長がこちらを見た。「あれ、どうしたんだい?」彼の名前は小牧湊(こまきみなと)ここのカフェの店長だ。昔から何か思い詰めた時はここに来ている。「...なるほどねぇ。自分には似合わないからどう向き合えばいいかわからない、と。いいね。青春してるじゃん!」湊にそう言われたが正直...って感じだ。「ははっ!分かってるよ。そんな気分じゃないことぐらい。でも、大切にされてるんだね。...まあ、過保護なところは置いといて、どんな奏でも好きなんだよ、その3人は。」湊にそう言われた。確かに、昔から一緒にいた。楽しくないわけがない。「でも、私は気付かなかった。そんな人でも良いのかな。」そう言うと湊はココアを出してきた。これは特別ね。湊はそう言って店の裏に行った。私はココアを飲み終わるとコップを置いて店を出た。外は雨が降りそうで、でもまだ帰る気にはなれないから少し公園に寄った。公園には小さい子がいた。...私も昔よく遊んでたな。ここの公園ではないけど、それでも楽しかった。雨が降り出して子供たちは走って行った。「家に直行して遊ぼ!」そんな声が聞こえた。あいつら、まだ家にいるかな。気持ちの整理がつかないからまだここにいるけど。スマホを見ると17時になろうとしていた。連絡しようとした瞬間、霙から電話がかかってきた。
友達から溺愛されまくり!? 葵 @SNNMAKT
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