第7話 動き

何分、何時間歩いただろうか。時計が無いもので、時間が分からない。更に薄暗いのも相まって昼なのか夜なのか暑いのか寒いのかすら分からない。湿った鉄のような匂いが鼻腔を突く。そう、今分かるのはジメジメした暑さという情報のみ。

「ねぇ、今何時かわかる?」

ふと、マイラに聞く。

「さぁ。私も時計持ってないからね、着けときゃ良かったな、、、。」

「そう言えば、この施設の名前は?そして貴方が助けようとしている人達はいったい?」

「、、、順を追って説明するね。まず、この施設は[アイエフ]と言うんだ。平行世界、違う選択をして失敗した人が最後に縋る1本の糸。でもそれに何千人何億人しがみつくとやがて千切れ、もれなく全滅。そう、君がエレベーターで見た者は人の“成れの果て”さ。」

「そして、そこに丁度被験者として捕らわれたのが私の友達。」

「、、、そう」

、、と言いながら歩き進めると、マイラが何かを察知したのか、ナイフをギラつかせながら向こうの闇に向ける。すると、白い服を着ている人が悠々と歩いてきた。、、性別は分からなかった。外見からは判断出来なかったからだ。

「お前は、、誰だ!?」

マイラが紅いナイフをその人に向ける。するとその人は、

「君、あの有名な集団の一人?」

「、、、、そうだが、、。」

「君で3人目だぁ、ここで死ぬの。」

そう聞いた途端、マイラがナイフをその人に標的に定め、

「死ぬのは、、お前だぁあ!!」

ナイフを投げつける。刺さった、、。刺さったのだが、、何故か平気な顔で突っ立っている。マイラが困惑した表情をしていると、

「これはクローンだよ。本物を行かせるわけないじゃないか。」

「最後に1つ聞いていい?」

「、、答えれる範囲ではね。」

「二人はどうした」

「しぶとかったから生きてるんじゃない?」

「、、、」

「じゃぁ、殺すね。」

マイラは近づき、刺さったナイフを縦に向けて斬った。クローンだからか、内臓などは出なかったが、それにしても流れる血が致死量である事に目が離せなかった。

程なくして、クローンは動かなくなった。マイラが私を見ながらその死体を指指して、

「これ多分人肉じゃないみたいだから食べたら?お腹空いてるんでしょ、、、?」

「え、、、そうなの、、?」

お腹をさする。正直に言うと、限界が近づいてきた。私は覚悟を決め、死体に近づく。時間が経っていないからか、本当に人肉じゃないからなのかは知らないが、腐敗臭はしなかった。腕部分を千切る。すると、驚くほど簡単に取れる。それを恐る恐る口に運ぶ。噛む。噛んで、飲み込む。、、、鶏肉のような味がした。幸い、食べれない事が無かった。少しお腹が満たされた気がする。

「、、ありがとう。」

「どうもっ。」

そんな会話をしながら、歩みを進めた。、、死体の方は隠蔽できる小ささではないため野放しにした。

そうすると、またエレベーターを見つけた。

「良かった、これでまた上がれる!!」

エレベーターにのり、上のボタンを押す。すると、B14からB11まで上がる、、らしい。

何はともあれ、上に動いて良かった、、、。

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