第2話 死と仲間

重い足取りで廊下を歩く。廊下の角に、階段が見える。一体ここは何階なんだ、と。階段を上がる。すると、前までは静寂そのものだった廊下に叫び声が廊下を支配する。気になるが、駄目だ。好奇心に駆られてしまったら、あの男の二の舞になりかねない。しかし、欲は恐ろしい。わかっていても、音の根源まで本能で動く。そこで目にした光景は、先程の映像とは比にもならない程、この世の冷酷さを物語っていた。詳細を語るのも憚られるかもしれない。それでも、伝えなければならいのだ。血が垂れる人が見える。人を、刺す人が見える。ここでは、非日常な体験ができるアトラクションなのか、、、?という現実から目を逸らしたいが為に脳内に言い訳を送るが、無情にも現実の時は過ぎていく。、、、目線がナイフを持った人を凝視する。すると、凝視したのに気付いたのか歩み寄ってくる。性別は分からない。手には相手の返り血の可能性が高く、右手に深く握りしめていたサバイバル包丁は、包丁の素材である銀色が全く見えなくなっていた。ーそして、追い詰められた。沈黙が時間を長く支配していたが、それから解放されるように、相手が喋った。

「貴方、見たこと無い顔。」

当たり前だ。私は貴方のような殺人鬼と面識は一切無い。私は震える声を絞って質問する。

「あなたの名前は?」

「、、、」

「私の名前は、マイラ。貴方の名前は?」

聞き返されてしまった。仕方ないか。

「私の、名前は、、、イホ。」

続いて質問する。

「どう、して、、、貴方は殺人なんかを、、。」

すると、マイラという人物は首を捻り、軽く、軽く答えた。

「ここから、逃げるため。貴方も、逃げたいでしょ?こんな所。」

、、、正直、私も出来れば今すぐ逃げ出したくてしょうがない。しかし、何も脱出の手掛かりがない以上、下手に動くと良くない気がするのだ。これは単なる私の勘だが、あのヘルメットや、あの映像は、実際に起きていることではないかと思っていた。

「はい、、、。でも、これ、、と、さ、殺人は、ちょっと、違うんじゃないんですか?」

出過ぎたまねをしてしまった。握っているナイフがギラギラと紅い輝きを放つ。

「はぁ、、、そこからか。」

そう言いながら、ため息をつき、私の目をじっと見るマイラ。

「じゃぁ、私がなんでこんなトコに居るのかを事細かく話してあげる。」 

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