第14話 あなたの言うことなら



「リオ、リオ! 大丈夫??」


 ソフィーはレオナルドの側へ座り込むと、彼の頭を膝の上へと乗せる。

 レオナルドはヒューヒューと不気味な息づかいをしていて、焦点が定まっていない様子だった。


「どうしてこんなこと……いえ、わたしの為よね。嬉しいけど、こんな危ないことはしないでちょうだい。あなたが傷つくと、わたし悲しいわ」


 ソフィーの涙は頬を伝って落ち、レオナルドの顔を濡らす。

 少年は力の入らない右腕を懸命に上げて、指で彼女の涙を拭き取る。


「……わらって、そふぃー」


 にこっと笑うレオナルド、ソフィーはとてもそんな気分ではなかったが──、


「ええ、あなたが言うなら逆らえないわ」


 満面に天使の様な、花の様な、そんな美しい笑みを咲かせてみせた。

 レオナルドは更に笑みを深めると、腕をブランと下げ……口から煤色の血を吐き出して動かなくなってしまった。


「……リオ? ねぇ、リオ、レオナルド!! いや、いやよ!! こんなっ!!」


 ぴくりとも動かないレオナルドを抱き締めて、ソフィーは大きな声で泣いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る